癌は人間が作り出した病気なのか

「健康診断で癌の疑いがあるとされた98%が癌でない」という統計が話題を呼んでいる。癌細胞が成長していない場合は生検をしても癌細胞を外せば陽性にならないので、悪性か良性かの判断は難しい。乳癌ではリスク予防のための切除手術も一般的であるが、最近は癌発生と成長メカニズムに関する研究が進展し、化学療法や放射線治療が見直され、「疑わしければ切除か放射線治療」といった荒っぽい治療法は過去のものとなりつつある。

  

癌がなかったエジプト時代

理解しがたいかもしれないが、エジプトのミイラを調べた英国の研究者チームの最新の研究(Nature Review Cancer)が「癌は人類が作り出した病気」であることを明らかにした。

マンチェスター大の研究チームは2010年にエジプトとギリシャのミイラの調査と古代文書の解読を行いエジプトのミイラに人類初の癌の形跡を発見している。研究によれば数百体のミイラの中で癌に侵された人はたった1例で、当時の記録にも癌とみられる病気の記述がない。これらの事実からエジプト時代には癌発生確率が極めて低かったことが推察される。

その後も癌の発生は低かったが、産業革命後に発生率が急激に拡大した癌は人間が作り出した病気である。産業化が進まない時代には自然の食品を食し、環境汚染が無い「クリーンな環境」に人間は生活していた。産業革命後に大量の排気ガスを放出し大気汚染が進み、河川と海に工場から汚染物質が流れ込んで環境汚染が進んだ。また核兵器実験と原子炉から核廃棄物が地球上に拡散した。核実験は産業革命後であるが長いスパンで見れば同時期となる。この時代に環境変化が集中したが、それ以前の癌発生率は極めて低い。(この図では1996年で規格化してある。)

 

cancer-rises-linearly-since-first-nuclear-tests

Source: Vaughter Welness 

 

地球環境を変えた産業革命と核実験

癌発生について最近(産業革命後)のデータでははっきりし無いが数千年の歴史を概観すれば古代には癌が極端に少なかったことがわかる。人類初の癌とみられるミイラはAD200-400年ごろのエジプトの一般人で直腸癌の症状を持っていた。当時は手術で癌を摘出する医療技術がなかったため、癌細胞がミイラ化して保存されている。

化石に遺された癌の形跡は非常に少ない。膨大な数の化石の中から数例で癌とみられる成長異常の細胞が見つかっているだけである。一方で古代に癌発生が少ない理由として平均寿命が短いためとする意見もある。また癌細胞が良好に保存されなかったとする見方もある。しかし後者についてはミイラ化で癌細胞が保存されることが実証されている。

 

fig8.1.new

Source: WHO

 

上の図は気候変動(オゾン層の減少)により増加する紫外線の影響で癌発生率が増加すると下シミュレーションの結果である。規制が無い場合に2015年ごろから急激に癌発生率が増加することを示している。

福島第一の事故で3月14日夜の2号機のドライベントで放出されたXeやヨウ素が人体に与える影響は検証が済んでいない。遠い未来に福島事故で癌発生が増えたと記録が残るのだろうか。

 

 

 

You have no rights to post comments

hitachihightec

hitachihightec science

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.