オゾンホールによる紫外線の増加

地球を太陽フレアや放射線(宇宙線)から守るのはバンアレン帯だが、同様に地球上の人間は紫外線からオゾン層で守られている。300nmより波長の短い電磁波をオゾンが吸収する。オゾン層は高度10km以上の成層圏、特に20-25kmの上空にある。

 

 

オゾンホールは南極上空のオゾン濃度が低くなるスポットで、上空のオゾン層に穴が空いた状態のことである。年間では8-9月に発生し11-12月に消滅するサイクルが1980年ごろから観測されている。しかし最近、縮小するべき時期にも拡大を続け2015年10月に南極大陸の2倍に成長した。

 

ozone hole

Source: undsci 

 

南極のオゾン濃度観測がオゾンホール発見につながる

また長期的には(上図に示すように)オゾンホールが徐々に拡大しており、消滅しなくなるほどになっている。2015年10月に観測されたオゾンホールは過去最大となった。オゾンホールハ破壊の原因は消滅が低温で促進される温度効果のためで、低温(-78C以下)の領域が増大したことによると考えられている。

南極のオゾンホールは各国で観測されているが南極上空のオゾン濃度が(世界各地では異常がないにも関わらず)、異常に(40%)落ち込むことが1982年の米国の研究チームの観測で明らかになった。オゾン濃度の減少は翌年も止まらないことから過去のデータを調べてみると、1977年ごろから濃度減少が始まっていることがわかった。(下の図)

 

ozone graph2

Source: undsci 

 

オゾンホールを見逃していたNASA

NASAはオゾン濃度の衛星データを持っていたが、データ量が多く解析が遅れたと説明している。実際には解析を早くするためにフイルタリング操作を行った際に、異常なデータとして実測のオゾン濃度の落ち込みを見逃すことになった。異常なオゾン濃度の発見に促されてNASAはデータを再解析した結果、南極上空に巨大なオゾンホールが存在することが明らかになった。

紫外線を便宜的に波長で分類するとUV-A(380-315nm)、UV-B(315-2080nm)、UV-C(280-200nm)、それ以下は121nmを協会にVUV、EUV領域となる。UV-C以下の短波長UVはオゾン層で吸収され地球上に到達しない。しかしオゾンホールでは吸収がないので、健康被害がある短波長側の紫外線が直撃することになる。

下の図は日照が最も強い季節における紫外線(UV-B)の強度分布である。モンゴルと南米太平洋岸の照射量が高いことがわかる。実際、ペルーでは紫外線による健康被害や作物への影響が出ているほか、オーストラリアでは皮膚癌率が高い。

 

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Source: ufz.de

 

オゾン層破壊をなくすには

CFC(クロロフルオロカーボン、通称フロン)は上空で紫外線照射により塩素原子を発生する。塩素原子は活性が強くオゾンと反応して酸素分子と一酸化塩素になることでオゾンを消費する。フロン規制の効果が出た1990年代にオゾン濃度減少は止まったが、減少したままの状態が続いている。

オゾンホールの生成機構は-78C以下の成層圏の低温雲の中にある硝酸塩素、塩化水素からつくられた塩素分子が紫外線を吸収して、活性塩素原子になりオゾン分解を起こすことによる。同様に塩素原子によりオゾン密度の低下が生じるため、抜本的な解決にはフロン以外の塩素化合物の規制を行うしかない。

施設ごとの国内排出基準は塩素が30mg/Nm3、塩化水素が80mg/Nm3である。しかし廃棄物焼却炉では規制値が甘く700mg/Nm3で、守られていないケースも多いので今後は徹底する必要がある。

人体の紫外線照射による健康被害として深刻なものは皮膚癌、白内障、アレルギー症状である。オゾン濃度が1%減少すると皮膚癌が2%増加、白内障が年間で10万人に及ぶとされる。

温暖化や異常気象にも関係性が指摘されるオゾン層を守らなければ地球環境はますます荒れていくだろう。温暖化同様、人為的な現象である。

 

 

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