核廃棄物の終着駅オンカロ

オンカロの名前を聞いたことがあるのではないだろうか。フインランドに作られた地下貯蔵施設である。北欧3国とデンマークのエネルギーミックスには国によって大きく異なるが、フインランドの原子力利用は20%強で、米国、日本に近い。したがって同様な原子炉の核燃料サイクルの問題を抱えている。フインランドの原子力利用は1970年の石油危機に始まる。そのため稼働中の4基は35年を経過している。

 

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Photo: smudgestudio.org

 

核燃料ウランは実はエネルギー効率が悪くエネルギーに変換されるのは5%ほどなので、運転を続ければ大量の使用済核燃料が貯まっていく。安全のために臨界に達するギリギリの濃度(低濃度ウラン)を使用するからである。膨大な核燃料廃棄物は高レベル放射性物質であるので、そのままでは廃棄できない。

 

使用済核燃料(注1)の地中保管の場合の廃棄手順は(最終処分を除いて)確立している。下の図のように燃料棒ごとカニスターに詰められて輸送され、銅で出来た容器に納められてそれをベントナイトという粘土で周囲を囲む。そうしたブロックを放射線が低下するまで地中深く貯蔵することになる。

(注1)軽水炉の場合、もともとあるウラン238、ウラン235から生成されるプルトニウム、燃えかすのウラン235、各種核分裂生成物から構成される。国内の原子炉では使用済核燃料は原子炉の建物の上層階にある燃料プール中で冷却されながら一時保管される。原子炉施設内の貯蔵量に限界が近づいたため青森県むつ市に50年保存できる中間貯蔵施設が2013年に完成したが稼働の見込みが立っていない。基本的な核燃料サイクル構想は大半の使用済核燃料を六ケ所村の再処理工場に運び、これまで英国とフランスに委託してきた再処理業務をここで行い、再利用できる部分を分離して残る高レベル放射性廃棄物の処理が最終的に残る。再処理後の状態は硝酸溶液のため固化して(海洋投棄が禁止となったため)地中埋設処分が現実的とされるが見通しが立っていない。

 

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Source:posiva

 

オンカロ施設とはどういうものなのか。1994年にフインランドは自国内の原子炉の核廃棄物を国内で処分することが決められた。オンカロは原子炉の一つであるオルキルオト原子炉に近い場所の花崗岩の岩盤に建設されている長期地下貯蔵庫である。

2004年から地下420mの貯蔵庫とアクセストンネルの建設が始まり、2015年から貯蔵庫(横穴)の建設にこぎつけた。横穴の貯蔵区画は全部で上図のキャニスター100年分の容量を持つとされるが、一つの横穴が満杯になった時点で封印されて長期保存される。

オンカロは大規模な地下貯蔵施設であるが数万年の半減期を持つ核種が安全となる未来まで地殻の安定性(地震・地下水・地滑り)や人為的ミス(掘削)などで地表に露出する危険性がないとは言い切れない。また数万年後の人類が貯蔵所の存在を引き継いでいるかもわからない。細かいことを言えば「完全」とは言えないことは事実であるが、地上に溢れる核廃棄物の一括管理の必要性は急速に高まっている。

 

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Source: B4E

 

南オーストラリア州の誘致する国際核廃棄物貯蔵ハブ構想はオンカロのような地下貯蔵施設を人口の少ない砂漠の地下に作るものだが、砂漠の下の地殻に関する調査が必要となるだろう。また管理組織についても一時しのぎでは意味がない。地球規模で国境を越えた処分ハブを作る必要性が認識されているが現実性に乏しい。

 

人口が少なく財政難の地方自治体に処理場建設を押し付ける国と国境を越えてそうした地域に国際ハブという名の廃棄物処理場(英語では"Dumping Ground"と呼ぶ)を押し付ける先進国はどこか似ている。

 

核廃棄物処理は考え方によっては新規事業となるかもしれない。しかし会社の寿命は限られている。数10 年で無くなるかもしれない企業に数万年先の安全性を求めるのは難しい。国境を越えた核廃棄物長期保存の動きはそうした「需要」によるものだが、考えられないほど遠い未来にリスクを「先送り」せざるを得ないことに背筋が寒くなる。それでも現在考えつく最良の選択をしたフインランド。紙一重で取り返しのつかないリスクと隣り合わせでいることに目を向けなければならない。

 

 

 

 

コメント   

# 原子力村人 2016年02月29日 17:07
地中に保管する容器として銅は向いてないと思います。数万年はおろか数100年で真空中に保管しない限りボ ロボロになりますから。また無垢の銅はコスト的にも無理だと思います。世界で数か所を国連が(IAEAが) 管理して後世に伝えていくしかないでしょう。IAEAもやりがいのある仕事だと思うのではないですか。

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