広島原爆資料館、銀行の入り口の石段に残る人の影は、実は有機物に過ぎない、との奈良文化財研究所の研究(2000/3/22の報道)

8月に(文献1)、私が行っていたX線顕微鏡研究に関連して、広島原爆資料館に展示されている、銀行の入り口の石段に残る人の影に関するプログ記事(文献2)の紹介をしました。

その後に、”奈良文化財研究所の調査で、被爆した人の影とされていた黒い部分は有機物質が付着したもので、人の影ではないと断定され、展示の説明文も書き換えられた”、と言う報道が、20003月にあった(文献3)らしいことを知りました。

この報道について、考察します。

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”黒い部分は有機物質が付着したもので、人の影ではないと断定され”との説明は、間違い、と考えます。

原爆資料館の説明文は、”強烈な熱線のため、石段の表面は白っぽく変化し、人が腰掛けていたと思われる中央の部分だけが影のように黒くなって残りました。”となっています。こちらの説明が、正しい、と考えます。

1.

人間の体であろうと、草木であろうと、その他の何らかの有機ガス発生源があったとして、原爆の熱で有機ガスが発生し、辺り一面に舞い、それが石段に付着することはあるでしょう。しかし、壁に付着せず、踏まれる石段に選択的に付着することは、あり得ません。更に、丁度人の大きさ、だけ付着することは考えがたいです。

2.

建物が吹き飛ばされるほどの爆風が起きましたので、ガスが、付着することはないでしょう。壁に吹き付けられる有機物があったとして、高温のために、蒸発するでしょう。

3.

原爆破裂後に、カビなどが、人型に、付着したと仮定しましょう。1946年の末には、既に黒くなっているので、1年一寸でこの程度にカビが付着しなけ階段の影と歩く人ればなりませんが、時間が短すぎるでしょう。

4.

この影の主の女性の遺体を抱きかかえて収容所に運んだ方の証言があり(文献2)ます。この証言のみで、そこに座っていた女性の影であることは、全く、否定し得ない事実です。

まとめますと、

原爆から55年も経った2000年に調査した時、影の箇所に有機物があったというのは事実でしょう。人影になって黒くなった部分と、原爆の光の励起で白くなった部分とで、有機物の付着度合いが異なり、55年の間に、黒くなった部分により多くの有機物が付着した、と言うことはあり得るでしょう。しかし、原爆の灼熱の中で、有機物が石段に付着することは、私には、到底、考えられせん。

奈良文化財研究所の研究員が、どのような考察を行って、”人の影ではないと断定”したのか、是非とも、報告書を読みたいものです。

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(参考文献)

1)

放射線損傷:ステレオX線顕微鏡像と、広島原爆の石段に残る人の影

http://www.rad-horizon.net/truth-of-radiation/32-damage-by-radiation

2)

20130708日「広島原爆資料館、銀行の入り口の石段に残る人の影。遺体を運んだ人と、影の主の娘さんの証言」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52117510.html

3)

ヒロシマの記録 2000年3月

中国新聞 ヒロシマ平和メディアセンター

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20080829094441394_ja

 

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