日本の癌罹患率〜福島の癌は少ない

福島の甲状腺癌発生率の有無が注目を浴びている。日本の癌発生率統計の都道府県比較が1975年から各都道府県が癌登録を行い、2011年に国立がん研究センターが「全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)2011年罹患数・率報告」をまとめた。

 

2011年までの集計なので2011年311以降のデータは含まれないが、311以降の数値的推移のコントロールとしての意味があると考え、福島にスポットをあてて他県と比較してみた。

統計は国立がん研究センターがん対策情報センターで開発されたサーベイランスシステムを用いて、品質管理、地域別集計、全国がん罹患数・率推計作業、生存率集計を行った結果である。地域がん登録の登録作業手順の標準化が進められているが、地域がん登録は都道府県事業であり、データの収集から集計に至るまでの仕組みと方法が、地域によって異なり、データ相互の比較において誤差が生じる。

全国平均を100としたときの標準化罹患率を比較したときの福島の数値は以下のようになる。

 

男性 全部位 90未満

男性 胃 90-100未満 女性 90-100未満

男性 大腸 90未満 女性 90未満

男性 肝臓 80未満 女性 80未満

男性 肺 90未満 女性 90未満

女性 乳房・子宮 90未満

男性 前立腺 90未満

 

2011年の罹患数が多い部位の順位は男女計で胃、大腸、肺、前立腺、乳房となっている。

全国平均との比較において福島の癌発生率は主要部位において約10-20%、低いことがみてとれる。これは総合統計であるから放射線従事者の統計ではないが、少なくとも住民の癌発生率は全国平均より低いことになるので、仮に癌発生率が311以降で増大すれば登録の統計上は鮮明に結果がでるはずである。

 

幼児の甲状腺癌の増加の有無に関する議論には答えることはできないが福島が(311以前の原発の影響で)癌発生率が高い、ということはない。むしろ「低い」地域なのである。

 

なお日本の175,939人の放射線従事者を対象とした低線量放射線の影響に関する調査では平均線量15.3mSvの119,484人の対象集団で、

外部比較(標準化死亡比)全死因及び非癌疾患死亡率は優位に低く、全癌死亡率と白血病を含む部位別の癌死亡率は増減はみられなかった。内部比較では白血病と全癌に線量に対する増加傾向はないが、(食道、胃、直腸)癌及び外因死には線量に対する増加は生活習慣(喫煙・飲酒)の影響による。

ちなみに米国、英国、カナダの原子力従事者の解析(IARC)の結果では全癌死亡に過剰リスクなし、白血病が線量とともに増加がみられるとしているが後者は400mSv以上の対象数が少ない統計にようもので、発癌物質の影響も含むことを考慮すれば明確な結論とはいえない。

 

 

 

コメント   

# 健太 2015年12月23日 08:13
福島県内の甲状腺癌発生率は地域差がみられないということです。フォールアウトは地域差があるのと矛盾する 気がします。なので直接吸い込んだ人は少なかったということなのでは?懸念は払拭できないのでこれからの統 計が重要ですね。
# 健康オタク 2016年01月07日 09:31
ガン発生率の地域の差って何が関係しているのでしょうかね。
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色々あると思いますが、福島県に入ったら彼らの運転する車の速度が低いことに気がつきます。ストレスたまらない運転なのです。夜も点滅する赤信号だけになっても事故もない。都会とは大きな差ではないかと思いますね。

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