廃棄することの難しさ

 国内の放射能汚染物質や除染で大量にできた汚染土の一時保管所を巡って自治体と国の攻防が続いている。原子力関連施設における放射性廃棄物の保管状況は1933年に海洋投棄が禁止となったが、いまだに一部の海洋投棄と地中に埋める一時的な措置は続いている。

 

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Photo: The Free Thought

 

放射性廃棄物の行方

環境省ガイドラインによれば、許されるのは「埋設処理」となる。高レベル放射性廃棄物は「地層処分」となる。これは地下深くに「ガラス固化キャニスター」に封入され保管される。

指定廃棄物(消却灰)の処置については自治体で異なる。例えば千葉県の場合、これまで千葉県が手賀沼終末処理場指定廃棄物一時保管場所にて一時保管を行ってた指定廃棄物(放射能濃度が1キログラム当たり8,000ベクレルを超える焼却灰で市の焼却施設から生じたもの)については、千葉県との協議により、今後は市クリーンセンターに設置した飛灰保管用仮設建物内で一時保管することになった。

除染で取り除いた(放射性)土壌などの処理は除染情報サイトに詳しく説明されている。仮置場や除染現場で3年程度保管後、中間貯蔵施設を経て30年以内に最終処分施設で処分、となるとあるが現実には、除染現場にビニール袋の山が大量に野積されたままである。自然災害(豪雨や台風)で安全性の確保ができるのか大きな疑問である。

 

セントルイスの放射性廃棄物置き場

原子力先進国で、原子力規制がきびしい米国で廃棄物による環境汚染の危険が報告されているが、ここで紹介するセンントルイスの問題は深刻である。セントルイス市はミシシッピ川とミズーリ川が合流する地点にある人口35万の都市。その住民が懸念する放射能汚染の危機とは何か。

セントルイス近郊のBridgeton地区では埋め立てが進められているが、近く(300m)には放射性廃棄物の保管場がある。埋め立てに使われた大量のゴミが出火して(想像できないが)5年間に渡って燃え続けているため、放射性廃棄物に引火すれば大量の灰が吹き上げられ、セントルイス市に落下する恐れがあるとして郡検察が埋め立て業者(注1)を告訴した。

 

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Photo: teamsternation

 

(注1)埋め立て業者(Republic Service)の持ち主はビルゲイツ。

 

マンハッタン計画の置き土産

この放射性廃棄物はどこから生じたのだろうか。セントルイス郊外にあったマンハッタン計画のウラン製造の化学工場が原因である。2015年にトリウム230の汚染が確認されている。マンハッタン計画の主要なウラン濃縮施設はオークリッジであったが、セントルイスには精製のための化学工場が置かれた。地理的には近いとはいえない距離であったが、水資源と電力に恵まれた。マンハッタン計画に参加した物理学者アーサーコンプトンは1946年にセントルイスのワシントン大学学長となった。

写真でみる限り放射性廃棄物置き場といっても野ざらしである。原子力先進国であるはずの米国ですら、ずさんな処置に驚かされる。日本の原子力施設から出る廃棄物は規定の手順に従っているはずだが、除染の土壌処理は手がつけられていないのが実情だ。気がつけば家庭のゴミ出しも一昔前とは比較にならないほどきびしくなった。ゴミをどう処理するかまで考えて施設をつくる時代になったことを電力事業者も認識し、自治体と協力していく姿勢が必要だ。

 

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