原爆投下の知られていない真実

毎年、8月が近ずくと人々は広島、長崎の原爆投下について、また「日本の一番長い日」について考えることになる。原爆が広島に投下された1945年8月6日当日、米軍がテニアン島から離陸したB-29で天候を調査したのは広島、小倉、長崎の3都市。これらがターゲットであった。広島市の資料によれば原爆による死者は14万人。

 

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Photo:Piazza del Grano

 

続く8月9日の攻撃では当初の攻撃目標であった小倉は天候が悪く、長崎が爆撃されたことはよく知られている。小倉上空ではしかし3回もの爆撃を試行して全て失敗に終わりやむなく長崎に標的を変えたとされる。まさに紙一重で運命が分かれたといえる。

長崎に落とされたファットマンはプルトニウム原爆で、プルトニウムコア(デーモンコア)はプルトニウム239の球体。未臨界だが爆縮で臨界に達し、その威力は広島のウラン型リトルボーイ(ガンバレル方式)の1.5倍。すでに記事でロスアラモス国立研究所でデーモンコアの臨界実験中に誤って臨界に達し、被爆して死亡した研究者がいたことについてかいた。

 

下の写真で研究者が持っているのはマイナスドライバー。先端の角度を変えるとギャップをわずかに変えることができる。半球同士の間隔を縮めて臨界を探っていた。ジグを設計する余裕がなかったのだろうが、安全重視の米国としてはあきれるほど無謀だ。しかし研究者は興味が先行して時として無謀な実験をしてしまう。マイナスドライバーが外れた瞬間に臨界に達し、この研究者は数Svの放射線を浴び数日後に死亡した。これがデーモンコアと呼ばれた所以である。

 

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Photo: Neatorama

 

広島、長崎につづき東京に3番目の原子爆弾、その後に最大12の原爆を追加投下する計画を立てていたことが、広島と長崎原爆投下70周年に関連して新たに公表された軍事資料によって明らかになった。

 

2007年のマイケル・D・コーディンの『原爆投下とアメリカ人の核認識:通常兵器から「核」兵器へ』、スタンリー・ゴールドバーグの『グローブス将軍と原爆投下』などのなかで、広島、長崎に続く3番目の原爆についてかかれている。原爆の投下場所は札幌、小倉、東京が検討されていた。

長崎に近い小倉より関東以北が選ばれるだろうが、終戦に持ち込めるのは東京だっただろう。ところで大量の原爆はどうやって量産されたのだろうか。ロスアラモスで被爆事件が起きたのは1945年8月25日。原爆投下は1945年8月6日と9日。この事実はロスアラモス国立研究所では臨界条件の精密測定が行われていた時期と原爆製造が重なり、長崎型プルトニウム原爆の成功で確信を持った軍は臨界条件の精密測定など眼中になく、核兵器製造に走ったことを示唆している。

 

事実3番目のプルトニウム型原爆「東京ジョー」は長崎原爆投下後にマリアナ諸島のテニアン島で組み立てられていた。「東京ジョー」という名前は3番目の原爆投下地点が東京になる、ことを暗示している。

1945年8月10日にマンハッタン計画のリーダーの1人であったロスアラモス国立研究所のロバート・バヒェーアはプルトニウムコアの輸送を指示していた。すでに、6日には広島、9日には長崎に原爆は投下されていたのでその矢先のことである。自身、原爆の威力で核兵器に消極的であったオッペンハイマーはトルーマン大統領の命令がないことから、この輸指示を取り消したとされる。プルトニウムコアの輸送が遂行されていたら、プルトニウムコアはサンフランシスコ経由でテニアン島に運ばれ、玉音放送がなかったら、8月19日か20日に東京に投下される予定であった。

 

広島市の資料では14万人、長崎では7万4千人、両都市の犠牲者は21万だが東京に落とされていたら、と思うとぞっとする。ハンフォード施設のプルトニウムコアの製造能力が高く、3日で1個に達していた。ロスアラモス経由のプルトニウムコアの輸送はシビリアンコントロール下にあったが、いったんその製造が軌道にのると別ルート(ハンフォード)で次々に、テニアン島に送られて原爆が大量に日本に投下されるはずであった。

ロスアラモスで被爆事故を起こしたデーモンコアはのちにビキニ環礁で熱核兵器(水爆)の起爆に使われた。「東京ジョー」が使われなかったことは幸運であったが皮肉にも米国も、ソ連も冷戦と紛争で相互に疲弊し、ソ連は崩壊、米国は連邦予算が毎年破綻を繰り返すこととなった。広島、長崎で打撃を受けた日本は冷戦の結果の朝鮮戦争による特需で経済を再興し、世界第2位(現在は第3位)の経済大国となった。

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