外国人の目から見た福島第一

ABCナイトラインで福島第一の現状レポートが放送された。日本の報道自由度は61位だが、外国の報道も規制が少ないとはいえ正確さの評価は別である。

311以来、米国の著名な原子力工学技術者(アーニーガンダーセン)がCNNを通じて福島第一から放射性汚染物質が燃料棒のメルトダウンし、圧力容器壁を突き破って地中に侵入、水素爆発で微粒子となって大気に放出されるたという個人的な見解を世界中に流し続けた。これによって米国西海岸を中心に北関東の放射線被曝と環境汚染が深刻であるようなイメージが定着した。

 

それ以後も外国特派員の目を通して世界中に送信された情報は事故の深刻さを訴えようとするあまり誤解を生み、特にジェット気流や海水汚染のシミュレーションを根拠にして、(放射線レベルの実測など実測データと無縁の)汚染物質の地球規模の環境汚染の危機的状況が伝えられた。 2014年に入ると外国特派員の現場レポートも事実を伝え、米国東海岸の魚の安全性を保証する、中立の立場をとるようになった。ABSのレポートはその中でも代表的なものである。

 

汚染水の海洋への漏れ出しについてはニューヨークタイムス記事やナショナルジオグラフイックで取り上げられている。 米国海岸の汚染については、当初の記事では汚染水の量的記述(TEPCO情報)とシミュレーションによって高濃度汚染海域が米国北西部海岸に近ずくことが根拠になっていたが、現在ではは米国の漁業に危険性のないことが明らかになり沈静化に向かっている。

こうした状況でCNNを通じて、ネガテイブな報告を科学者として精力的に行ったガンダーセン氏は、いまでも福島第一の深刻さをアピールし続けている。 現在は主に流出し続ける汚染水、放射線による癌リスク上昇微粒子の飛散が主な論点である。

 

福島第一の誤解を解くにはまだ相当の時間がかかるだろうが、「真実」の全貌が明らかになることを望む。ガンダーセン氏は原子炉設計に携わり、のちに反原発路線に転向した。バイアスの大きい科学者、技術者も問題だが放送局が特定の意見を取り上げ、公正な立場を失ったCNN(注1)も問題である。もちろんTEPCOの情報隠しや、電源喪失の原因である非常電源設置の責任の追及(注2)がなされないことが問題なのはいうまでもない。

 

(注1)CNNの「やらせ疑惑」は数多い。湾岸戦争時に空襲の様子を生中継したが、後に「やらせ」であったことが発覚した。自国に都合の良いストーリーに合わせて報道した。福島第一では反原発の立場をとった。

 

(注2)133Xeが欧州各国で地震後1日足らずで観測されたことから、津波の来る前に圧力容器配管が壊れ、格納容器や建物の外に放射性物質が漏れた可能性も指摘されている。ここでは津波による電源喪失の原因という意味である。

 

 

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