世界の数十億人のデータは、LNT仮説を否定しホルミシス効果を支持する

低線量率で顕著な健康被害が出た、と言うデータは皆無だが、被害がないとは断言できない、として、閾値なし、線形(LNT: Linear Non-Threshold)モデルで放射線の規制が行われていますが、

LNTは間違い、を示唆する、私の解析結果を紹介します。

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1mSv/年は、健康被害とは全く無関係に設定された値ですが、「黄門さまの紋所」の様にかざす人が、研究者にも多数いて、がっかり、させられます。

「規制」の目的は、事故を未然に防ぐため、です(文献1)。規制「値」は、事故の起きる確率とは無関係に、「実行可能性」で決められます。一般道の制限速度が60km/hになっているのは、これを越えると急激に事故が増えるからではありません。人々が許容するからです。一般人への被ばく量の規制値が1mSv/年になっているのは、自然放射線レベル以下にするのは、経済的に「実行不可能」だからです。放射線技師の規制値が年に50mSvになっているのは、彼らが放射線に「強い耐性があるから」ではありません。小さくしすぎると、装置の操作が不便になるからです。自然放射線と、事故起因の放射線が識別できるならば、そして規制による不便さが大したことがなければ、規制値を、0.01mSv/年にしてもよいのです。

低線量率での被ばくで人が健康被害を受けるかどうか判断できるデータはない、とはよく言われることですが、私が3年弱前に行った解析では、LNT仮説が否定され、ホルミシス効果の存在を支持する、と見ることができる結果が得られています。

それをご紹介します。

使ったのはWHOのデータ、です。誰もが簡単に入手できるデータなので、皆さんご自身で、私の解析をチェックできます。

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(LNT仮説を否定するデータ)

次図が、文献2で紹介した、私の解析結果です。

女性肺がんvsラドン濃度男性肺がんvsラドン濃度

解析に用いたのは、WHOの

1.2008年の各国の肺がん死亡率データベース

2.各国の喫煙率データベース

と、

3.合計50ヶ国の屋内のラドン濃度のデータ

です。

横軸は、室内のラドンの濃度で、縦軸は、相対肺がん死亡率です。なぜ「相対」かは、後で説明します。

一つの点は、一つの国のデータであり、人口は国ごとに大きく異なりますが、大凡1億人程度の平均です。これを越える大規模な調査は存在しないのではないでしょうか。

室内ラドン濃度が高いほど、相対肺がん死亡率が低い、傾向が見えます。

「LNTモデルは間違い」、を強く示唆するデータです。

160Bq/m3は4mSv/年に相当するのではないか、と思われます。

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(相対死亡率を用いた理由)

文献2の解析に至る経緯をご紹介します。

きっかけは、世界の自然放射線のかなりの割合が、空気中のラドンで占められていることを紹介する記事(文献6)を書いたことでした。ラドンを吸い込む肺が最も大きな影響を受けるに違いない、と、国別の、ラドン濃度と肺がん死亡率の関係を調べたところ、ラドン濃度が低い方が肺がん死亡率が高い、と言う結果になりました。

10か国肺がんvsラドン濃度

10か国のデータでは数が少なく、たまたまかも知れないので、ラドンハンドブックに載った29か国の全データを使って解析したのが次図です。上の図と異なるのは国の数だけでなく、女性の喫煙率の補正も行ったことです。

喫煙率補正肺がんvsラドン濃度

女性の喫煙率と肺がん死亡率には相関があります。肺がん死亡率が喫煙率と比例すると仮定して、補正しました。

女性肺がんvs喫煙率

データのばらつきの原因の一つに、平均寿命がある、と考えました。事故や疫病で死亡率する割合が大きく、平均寿命が短い国では、がんによる死亡率が低くなります。

肺がんvs平均寿命

喫煙率に加えて、平均寿命の影響も補正した肺がん死亡率の、室温ラドン濃度依存が次図です。

平均寿命喫煙率補正の肺がんvsラドン濃度

より良い平均寿命補正法として、すい臓がんと大腸がんの死亡率で規格化することにしました。すい臓がんと大腸がんの死亡率の和に対する比を「相対」肺がん死亡率と呼び、その室内ラドン濃度への依存を図示したのが、最初に示した図です。

もっと詳細に考察を行えば、国ごとのばらつきをもっと小さくできるに違いない、と考えています。

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(参考文献)

1)

2014年05月22日19:30 「基準値1mSv/年は「法律」ではなく、また、健康被害とも無関係。大臣告示で示した、諸活動を"過度に制限しない"目安のレベル、に過ぎない」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52153015.html

2)

2011年10月22日23:46 「ラドン濃度と肺がんの相関の再々解析。LNT仮説の否定を再確認ーーWHOデータの富江流解析(10)」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52010764.html

3)

WHOの2008年の各国の肺がん死亡率データベース

http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/estimates_country/en/

4)

WHOの各国の喫煙率データベース

http://www.who.int/nmh/countries/en/

5)

ラドンハンドブック(29か国のデータ)

http://www.niph.go.jp/soshiki/seikatsu/radon/WHO_radon_handbook.pdf

http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/08/08010312/04.gif に掲載されている「国連科学委員会2000年報告

6)

2011年10月02日22:00「屋内ラドン濃度は、フィンランド84 Bq/m3で5 mSv/年相当。日本と英国は13 Bq/m3 、スエーデンは56 Bq/m3」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52004904.html

7)

2011年10月04日02:16 「ラドン濃度が高い国は、肺がん死亡率が低いーー明確な、ICRPのLNT仮説の否定と放射線ホルミシスの証明」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52005258.html

8)

2011年10月10日11:09 「放射線は少し浴びたほうが健康によい(4)ーラドン濃度と肺がんの相関の再解析ーーWHOデータの富江流解析(7)」

http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52007083.html

コメント   

# ラドン温泉主人 2014年06月05日 10:51
ラドン濃度が高いと肺がん死亡率が低下する、というのはいいことですね。

ただしこれは平均値の議論であって、問題の多くは局所的な、被爆なので、人口のごく一部ではないでしょうか。

それと健康体と免疫が低い患者や高齢者は別にした議論も必要なのではないかと思います。
# toshiさん 2014年06月06日 20:57
記事を、読んで頂き、有難うございます。

残念ながら、しっかりお読み、ではないようです。

一つの点は、一つの国のデータです。
日本の場合1億人、中国の場合10億人、英米独の場合、数千万人の、データです。

人口のごく一部、どころではないこと
もう一度、よくお読みください。

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ホルミシス効果の神髄は、
刺激を与えることによって健康を増進するですので
健康的に弱い人
「免疫力の弱い人や高齢者」には
効果は、図2よりもより顕著になる
と想像しますが

免疫が低い場合、高齢者の場合、
など限定すると
解析が「恣意的」になるので
信頼性は落ちるので、注意が必要です。
# Toshihiro 2014年06月08日 00:29
タバコを吸っている人の発がんが低線量の放射線によっておさえられるということはありませんか。もしそうなら、全体としては低線量放射線は発がんを抑えるということになるのではないでしょうか。放射線が薬のように働いて、病的な人を救っているが、健康的な人には実は害になっているという可能性はないでしょうか。
以下の論文にそのような可能性が書かれています。
Sasaki MS et al. Cancer risk at low doses of ionizing radiation: artificial neural networks inference from atomic bomb survivors, J Radiat Res (2014) 55 (3): 391-406
次は日本語ですが、フリーペーパーでないので、入手しにくいかもしれません。
佐々木正夫 (2011) ニューラルネットワーク理論による原爆低線量影響の再評価, 放射線生物研究 46, No.4, 386-387
# Takashi 2014年07月04日 16:10
NRCPは「低線量被曝による多くの健康リスクに対して、「多くの科学的データが直線しきい値なし仮説を支持している、としている。

しかしこれはきわめて少ない線量による健康影響の確率は小さいから、有意なデータに残らない。消極的な議論だが。

健康上はわからなければ、とりあえず被害がある、として扱うのがよいのではないか。
# toshiさん 2014年07月06日 08:58
私の過去の記事を全然読んでおられずにコメントしておられますね。

何回も繰り返して書いています。
年に1シーベルトレベルで健康被害がない、
ことは動物実験で、「確立されている」が私の理解です。
高等生物ほど、免疫システムが発達しており、がんに対して耐性が高いことも、「確立」されています。

唯一欠けているのは、
低線量で「人間」に対して影響がある、
と言うデータのみ、
です。

これも繰り返し書いています。
たかだか年に20mSvで健康被害があるかも知れない
ならば、その20倍もの被ばくをする
宇宙ステーション事業は
ただちに、止めるべきです。

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