電気化学的に成長制御した電磁シールド用Bi薄膜

電磁気の影響は電子回路に致命的な損傷を与えるため、電磁シールドへの関心が高まっている。太陽フレアなどの電磁放射や自然界および人工起源の磁場が対象となる。EMPのようなたとえ短い電磁パルスであっても、動作中の機器は瞬時に壊滅的な打撃を受ける。

 

ベラルーシの研究チームは、この放射線を中和できる電磁気および磁気シールドとなる電解質膜の研究を行ってきた。電子機器保護の最も一般的な方法の1つは、電磁シールドと磁気シールドだが、個々に異なる材料を用いるため製造コストが増大する。

通常は高エネルギー放射線を効率的に吸収する重い元素が遮蔽のための材料として使用される。Biは高密度で多くの電子を有する重金属で、鉛などの従来材料に類似しているが、保護効率と質量のパラメータの比(ならびに生態学的な側面への配慮)では、Biが最良の選択肢である。

研究チームは電解質組成を制御して、Bi薄膜の微細構造と特性を最適化した。電気化学的析出の過程を制御して、同じ組成であるが異なる性質を有する材料が得られることを利用した。

電解質膜は、Bi薄膜成長の開始、成長メカニズム、および構造と特性を左右する。薄膜成長技術をより深く理解することで、求められる特性を有する薄膜およびコーティングを得ることが可能となる(Tishkevich et al., J. Alloys and Compounds, 735, 1943, 2018)。

 

3 electromagne

Credit: J. Alloys and Compounds

 

Bi膜の相組成および微細構造パラメータについて、系統的な研究を行った結果、フィルム試料の密度が高いほど、実際の適用の可能性が高いことが観察された(上図)。

1.6-1.8 MeVの電子線ビームを使って裏面に配置した半導体素子で評価した結果(下図)、Bi薄膜の減衰効率は2g/cm2の密度換算で156であった。

 

1 s2.0 S0925838818311642 gr1

Credit: J. Alloys and Compounds

 

電気化学的に制御されたBi薄膜は半導体デバイスの電磁シールド材料として有用であると期待されている。自然ん災害として日本では台風や地震が想起されるが、太陽フレアや核兵器によるEMPは現代社会の電子機器を一瞬で破壊してしまう。その結果、送電網が機能しなくなる点では自然災害と同様であるが、電子機器は破壊されて使い物にならない。電子機器を外側からシールドすることはもちろんであるが、ここで紹介したBi薄膜で素子ごとに防御されるようになるだろう。鉛の融点は低く、薄膜への加工も困難であるのでBi薄膜の素子シールドが威力を発揮するだろう。

 

関連記事

EMP

スーパー太陽フレアの脅威

新しいコロナホールの脅威

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.