核廃棄物保管に積極的なオーストラリア

原子炉コスト高騰と住民反対運動を別にしても、地震などの災害時の安全保障と核燃料廃棄物の後処理の問題が深刻化している。どちらも周辺地域の住民の健康と生命を脅かすものだが、各施設に分散されて保存されている放射性廃棄物の中間保存施設を集約することが模索されている。

 

密かに進められる多国籍核廃棄物保管施設の整備

先に日米の主導でモンゴルに保存施設を集約する提案はモンゴル政府が拒否した。一方、保管と引き換えに膨大な保管費用収入を期待する財政難の国が独自に保存施設の誘致を行う動きも活発化している。人口の少ないオーストラリア南部に世界最大の使用済みウランの保管施設を建設する計画である。

人口密度と環境(低湿度)は保存場所として最適とされる。注目すべきことはオーストラリア国内の廃棄物だけではなく、世界中の核廃棄物を集積する施設としていることで、そのための収益は地方に今後120年間で735億ドル(日本円で約8兆円)、中央政府に188億ドル(1兆3,000億円)に達する。地方財政に取って毎年6億ドル(673億円)の収入があレバ、財政再建に弾みがつき一気に豊かな地方自治体となる。

保管施設受け入れで4,500人の労働者が建設に必要となり、運転要員に600名が必要になるので雇用の点でも活性化が期待されている。オーストラリア政府も歓迎しているため、実現には南オーストラリア州政府の決議を待つことになる。

原子力関連業界を代表する世界原子力協会(World Nuclear Association)も多国籍廃棄物保管施設が安定に原子炉運用に寄与するとして歓迎している。現在のように核施設に廃棄物が分散して置かれているよりも、管理がしやすく集中保管で対テロ安全性も高まるとしている。一方、核汚染の規模が高まることで住民の安全性が犠牲になるとする環境保護団体の反対意見もある。

核燃料廃棄物は米国の100基を超える原子炉の過半数が老朽化し廃棄物貯蔵の限界に達している。ネバダ州にあるユッカ山の廃棄場をめぐって環境汚染が危惧されオバマ政権は計画を凍結した経緯がある。日本でも六ケ所村の貯蔵施設は9割以上が使われ、受け入れ可能な量は残り少ない。高レベル放射性物資の地中保管がニューメキシコ州のテストプラントで開始された。

 

天秤にかけられる核汚染リスクと補完費用収入

米国では核汚染により癌発生率の増加が報告されている。2014年に地中保管の一部が爆発火災を起こした際に、放射能漏れが起きた。セントルイスの核廃棄物貯蔵施設では周辺地域の癌発生率が高い。キャニスター保管のリスクは資料に詳しい。

環境保護団体ならずとも住民の総意は反対多数で否決されても当然だが、地域と中央に莫大な財源が確保されることが大きく影響するとみられる。5月の最終報告書で計画概要が決まり、決議されれば建設が始まると考えられている。日本でも補助金で六ケ所村の農民の平均収入が1,200万円ともなれば反対意見も出づらい。しかし周辺地域を離れれば原子力に関連性の薄い箱物建設や補助金バラマキで懐柔し、電気料金に上乗せして財源を工面することには眉をひそめる人も多い。

オーストラリアはダーウイン港の長期租借権を(軍事的な重要性を顧みず)中国に売った。核廃棄物補完施設の安全保障も二の次となる可能性が高い。写真はユッカ山の集積場。ドラム缶を地中に埋めることの危険性は明らかである。オーストラリアのほかに世界の核廃棄物の集積場設置に名乗りを上げているのはウクライナである。貧困な国・地方をお金で懐柔するやり方が続きそうである。

 

下の図は1993年に禁止されるまでに海洋投棄された核廃棄物。ドラム缶に入れただけで投棄されていた。禁止によって大洋汚染が食い止められた。日本近海の投棄が少なかったことは漁業を考慮した結果と思われるが、福島第一でこの地図は書き換えられることになる。

 

Ocean dumping of radioactive waste

Source: Wiki

 

 

 

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