クリーンデイーゼル

 ハイブリッド車はエコカーの筆頭に、また電気自動車は次世代エコカーとして扱われる日本でゆっくりとした別のエコカーへの道が模索されているのをご存知だろうか。ふとしたきっかけで大排気量デイーゼルエンジンを積むSUVを運転する友人と意見が分かれた。


 石原都知事がトラックの排気管から採取した真っ黒な粒子状物質(PM)を見せながらデイーゼル車の排気ガス中に含まれる有害物質をTVで批判の対象としたのを覚えているだろうか。そのときにも同様の議論が起こった。一般にデイーゼル車の後ろにいると悪臭と視界が妨げられるほどの排気ガスに悩まされる。友人は主張する。デイーゼルエンジンは低濃度の燃料を使用していて燃焼効率さえ良ければ排出される有害物質は少ない、つまりクリーンなのだ。確かに欧州に行くと燃費にこだわるタクシーのほとんどはデイーゼル車だ。低回転で大トルク特性は重い車を狭い石畳の街で加速するにはぴったりなのである。では何故、日本ではデイーゼル車は悪役で売れないのだろう。まず日本で燃費が安いのにデイーゼル車が普及しないのは、排ガス規制が厳しくてクリアするために車両価格が高いことがある。それに加えてハイブリッド車が走り回る今日、大多数のユーザーは有害物質をまき散らして走る負のイメージを背負いたくないのである。反対に誰もがハイブリッド車を運転すれば環境保全に寄与しているつもりになっている。

 最近、クリーンデイーゼルという言葉を耳にする機会が増えた。その意味はふたつあってひとつは有害物質、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)が少ないこと、もうひとつは2002-2009年までの期間で達成すべき排ガス規制値をクリアしているという認定である。CO、HC、NOxなどのガス濃度を最先端触媒技術を用いて取り除き、PMはフイルターで除くなど先端技術を駆使することにより、国内外メーカーが規制をクリアしてクリーンデイーゼルエンジンを世の中に送り出した。ガソリンエンジンと比較すると高回転での出力(馬力)では劣るが低速回転時の大トルクによって加速性能は遜色がないレベルに達している。メルセデス・ベンツ社ではこれをブルーテクと呼ぶ。何故、ブルーなのかは後述する。最近訪れたベンツ博物館にもこの技術に関する展示はなかった。最新テクノロジーなのである。

 国内メーカーで最初に規制を突破した日産はSUVを発売し、同じくSUVメーカー、三菱もこれに続く予定である。注目すべきはホンダも主力車種アコードのクリーンデイーゼルを2011年に発表する。また国外メーカーではアウデイとメルセデス・ベンツは規制の一部をクリアした車種を販売中であるが、最も強力な規制をクリアする予定だ。クリーンデーゼルの秘密はふたつの最新技術にある。ひとつは尿素水溶液(アドブルー)で、NOx触媒の直前でこれを噴射し、触媒内でNOxを窒素(N2)と水(H2O)に分解する。もうひとつは「NOxトラップ」。こちらはNOxを一時的に吸着するトラップ触媒を使い、燃料が濃い燃焼を瞬間的に行うことで、排出ガスの成分とNOxを化合させ、窒素、二酸化炭素、水を生成するというものだ。クリーンディーゼルはこのどちらかを用いるが、興味深いのはドイツのアウディやメルセデス・ベンツはアドブルー(AdBlue)方式、国産車はNOx トラップ方式にはっきり分かれているが、日本でも前者を採用するメーカーもでてきている。ハイブリッド車とクリーンデイーゼル車はそれぞれの特徴を生かして相補的に使われていくだろう。車の社会では多様性が必要なのだ。


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