ビルなか農場(Vertical Farm) -植物工場と機能性野菜

 機能性触媒、機能性物質等の言葉はすでにありふれた存在だが機能性野菜という耳慣れない言葉がある。最近、大手野菜供給メーカーが取組んでおり腎臓疾患用の低カリウムレタスなどが販売されている。日照時間や水のミネラル成分等の育成環境を厳しく制御することで可能になるという。問題のある遺伝子組み換え技術に頼らないので安心である。また半導体製造メーカーが、使われなくなった半導体製造のクリーンルームを農場に転用した。TPPにより日本の農業は大打撃を受けると考えられているが、かつて世界を席巻した日本の半導体技術で高付加価値を持たせた野菜や果物で競争力をつけることが期待される。


 元りそな銀行大手町支店の空き地下金庫跡スペースではハイテク農作物栽培実験が行われている。光合成に必要な波長は650~710nmの赤色(光合成の促進)と400~500nmの青色(葉・茎などの形状を整える)である。太陽光の代わりに用いる白色LEDは(a).460nm(GaN)で512nm(YAG)を励起させ青色と黄色で白色にするタイプ、(b).365~420nm(GaN)の近紫外光で、青、緑、赤の蛍光体を励起し発光させるタイプと、(c).赤・緑・青のLEDを組み合わせるタイプなどである。(a)のタイプは赤色が入っていないので農作物の栽培用光源としては使えない。意外にも市販の白色LEDを使われる緑は植物の育成に悪い波長らしく、植物生育には不必要であるがこれを抜くと青色と赤色を重ねたピンク色になってしまい管理する人間には好ましくない。その後、人材派遣企業のパソナが旧大和証券本社ビルで、電通ワークスもカレッタ汐留に菜園向上を展開している。

 人口光を使うことで、生産費が高くなるのではないかという懸念もあるが、24時間光を当てて育成できることから収穫が短く、無農薬で害虫がいない、天候に左右されない、品質管理および生産量を一定にできるなど利点も多い。また、輸送コストも下げられるため、一概に人口光栽培が高コストで有望性がないとは言い切れない。ビル中で栽培する利点は品質・生産量が一定で管理しやすく、食糧不足問題に対する解決方法の一つと考えられている。

 世界各地でも同様の実験が計画されている。たとえば、フランスeco-tower(http://www.eco-tower.fr/)、スウェーデンはPLANTAGON(http://plantagon.com/international/)、アメリカはVertical Farm Project(http://www.verticalfarm.com/)などである。

 ビル内で生産された野菜は水耕のため、適さない野菜もあるようで、まだまだ試行錯誤の段階にある。今後、農作物以外に畜産・水産についても同様にビルの中で生育させる試みも始まるのではないかと思われる。いずれの場合もきめ細かい飼育条件の制御には精密な制御ソフトやセンサ技術が必要不可欠である。

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