次世代原子炉—高温ガス炉

 福島原発の事故の後の住民意識は大きく脱原発に傾いたものの、政府はいまだに基本方針を変えず、新型原子炉開発を再開する。次世代型原子炉の高温ガス炉である。簡単にその特徴をまとめてみた。高温ガス炉はVery High Temperature Reactor (VHTR)に分類されることが多いので、超高温ガス炉と呼ぶべきだが、住民への安全イメージに配慮したのかも知れない。下に古典的といえる従来型(沸騰水型)原子炉の模式図を示す。

 

800px-BWR nuclear power plant diagram.svg

 

 まず従来型と大きく異なるのはタービンが水蒸気でなく、高温のガスタービンになることである。このため水を冷却剤として使用しないので、水蒸気爆発の危険性はない。ガスとして不活性ガスを使用すれば、配管内で器壁との反応もない。実際には冷却剤としてヘリウムガスが用いられる。減速材は黒鉛を使用するが燃料棒の代わりにセラミックなどで被覆した粒状燃料を用いる。黒鉛の大きな熱容量のために非常に炉心溶融しにくい。熱交換器や原子炉容器の腐食問題がない、など安全性では従来型に比較すると大きく改善される。

 

600px-Very High Temperature Reactor.svg

 

 欠点は大型化が困難で0.3MW以下の出力であること、内部に空気が混入した場合に、黒鉛が燃えだして火災を起こす点である。1000度近い高い炉心出口温度によってガスタービンのエネルギー効率は水蒸気タービンを上回るが、配管が破れると放射化ガスが漏れて飛散する恐れがある。また核燃料はウラン酸化物なので核廃棄物の問題は従来型と同様である。

 高温ガス炉の研究は米国に始り建設された2基で実証されたが、すでに米国は原子炉建設を30年間行っていない。その他に英国、ドイツ、日本、中国が研究を行っていたが、ドイツは脱原発を選んだ。次世代原発にかけるのか、再生可能エネルギーに転換するのか、いよいよ正念場を迎える。下の写真は英国Heishamに建設中の高温ガス炉である。

 

Heysham Nuclear Power Station Lancashire

 

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