ハイブリッドイノベーションの連鎖

  国内では気がつけばいつドライブしても視界にプリウスがない時はないほど、HV車が溢れている。HVというと燃費を気にするマイカーのためのものと思われるがそうではない。瞬発力が特徴であるモーターと高回転での発生パワーが特徴のエンジンを組み合わせれば、スポーツカーの運動性能を向上できるからだ。

 

Toyota Prius Plug-In Hybrid IAA 2009

 

 上の写真はPHVの王者プリウスである。縁がないと思われるスポーツカーの世界にもハイブリッドの波が押し寄せている。マクラーレン、ポルシェ、アウデイがルマンで有名なLMP1クラスのレースカーと市販車で三つ巴の競争を展開していたが、ランボルギーニ、ニッサン、フェラーリも市販車ハイブリッドに参入した。例えばLa FerrariというフェラーリのHVは排気量6262ccV型12気筒エンジンとモーターを組み合わせて、最高出力963hpを出す。リチウムイオン二次電池パックを持つ点は市販車と同じである。

 HVはエンジンと電気モーターの2つの動力源を持ち、走行条件によってモーターのみ、エンジンのみ、モーターとエンジンを同時に使用、あるいはモーターを減速時に発電機としてエネルギーを回生して走行する。エンジンを発電のみに使用し、モーターを車軸の駆動とエネルギー回生のみに使用するホンダアコード、搭載しているエンジンとモーターを車輪の駆動に使用する(モーターアシスト)のインサイトがあるが、発進時や低速走行時にはバッテリーに蓄えられた電気でEV走行、通常走行時にはエンジンを低燃費回転域で使用し、ギアを介して発電機で同時にバッテリー充電を行うプリウスが燃費競争では常にトップに君臨して来た。プリウスのボンネットを開けると下の写真のようにエンジンとモーターが一体化した駆動システムが顔をだす。

 

Toyota Prius PHV powertrain

 

下の写真にハイブリッド駆動システムを示す。モーターは発電機とモーターを切り替える。ブレーキング時には回生エネルギーは発電されバッテリーに蓄電される。

Toyota 1NZ-FXE Engine 01

 

 HVは軍用車の世界にも派生した。米軍が計画中の尾装甲車は最高出力175hp、水平対向4気筒ディーゼルターボエンジン(スバル)とモーター、リチウムリン酸鉄バッテリーを備えている。日本のそうりゅう型潜水艦は複数の動力源を持つパラレル方式のハイブリッドシステムでもある。またJR北海道が開発中止を決定した新型のキハ285系にはディーゼルエンジンとモーターアシストのハイブリッド駆動であった。またバス(写真)やトラックへも応用されている。

 

Montreal hybrid bus

 

 こうしてみるとHV車のインパクトは大きく、エンジンの絶対性能に飽き足らない場合は補助として、また燃費向上を目指す場合は得意な領域を分担させる「いいとこどり」精神で、総合性能向上に欠かす事のできないアプローチとなった。ハイブリッドをイノベーションとみる人は少ないかもしれない。しかしセンサーを目として人間では不可能な細かい制御を行うソフトを組み合わせたハイブリッド技術はロボットとも呼べる。車に限らず産業全体に影響を与えつつあるハイブリッド技術はイノベーションと考えてよいのではないだろうか。

 

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