ALPSは汚染水を除けるのか

 東日本大震災時にメルトダウンを起こした福島第一原発の1〜3号機の廃炉に向けて、現在も圧力容器内に冷却水が送り込まれ、冷却を継続している。国内報道は下火になったが、海外報道ではこれらの原子炉建屋に周辺の地下水が流れ込んで原子炉容器から漏れ出した冷却水と混じり、放射能で汚染された水が毎日約400tも増え続けていることが、トップ記事扱いで報道されている。

 

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 ALPS(写真)は東電の誇る多核種除去設備で、汚染水からセシウムなど62種類の核物質を法定濃度以下まで取り除くことができるとされ、現在は日量250tの性能の装置が3系統稼働している。すなわち汚染粋の再生能力は750tで、今後2000t/日の処理能力を得る計画である。しかしすでに蓄えられた汚染水は40万tを越えており、貯蓄された汚染水の処理のメドはたっていない。また同時に進められている凍土遮水壁による地下水の止水作業は失敗し、抜本的に地下水をバイパスさせることは困難である。


 ALPSの処理能力の詳細は不明だが外国メーカーを含む複数の企業の連携の装置で、63種の核種に対応、といっても汚染の主要核種は限られており、処理後の大量の再生粋を海洋に捨てるには解決しなければならない問題があるという。東電によれば、処理対象水に含まれるストロンチウム90の濃度は1600万Bq/lである。一方、他の主な核種であるセシウムと比較すると、ストロンチウムはセシウムの10倍の濃度で一旦体内に入ったら半減期(30年)居続けるので、汚染粋の海洋投棄には、ストロンチウム濃度を確実に減らさなければならない。次にALPSではトリチウムを除去することができない。ALPSはストロンチウムに特化していないため処理後の再生水でも基準値を上回り海洋投棄できない、とする専門家の意見もある。


 現状では汚染水の貯蔵で難をしのいでいる。その対策である再生と止水。そのどちらにも赤信号が灯った。ストロンチウムの除去システムと凍土遮水壁に代わる止水技術の早期開発を汚染水の貯蔵ができなくなる前に完成しなければならない。東電に代わり廃炉の司令塔となった技術研究組合、国際廃炉研究開発機構IRIDが知恵を結集してこの問題の解決にあたって欲しい。

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