洋上風力発電は電力危機を救えるのか-海アクセスの利点を生かせ

 しばらく前のことだがスエーデンのマルメに会議で出張する時に、コペンハーゲン経由を指定したら、旅行会社の女性が怪訝そうな顔をして聞いて来た。最近、視察で工学部の先生がコペンハーゲンを訪れることが多くなったけど、何があるんでしょう、というのだ。私も実は現地に行くまで気がつかなかった。日本から北欧への旅は(個人的には)コペンハーゲン経由が快適である。最大の理由はコペンハーゲン空港は広くて静かなことと列車への接続性のよさで、北欧行きビジネス客にとっては快適な秘密基地である。

 

 

KbenhavnsLufthavnKastrup

 

 上の写真は空港から乗れるスエーデン行きの列車のホームである。空港のバゲッジキャリアが置き去りになっているように空港ロビーに直結し楽に荷物ごと列車まで移動できるのだ。空港直下に駅があるのはシャルルドゴール、ローマ、チューリッヒ空港でも同じで、それらも便利なのだが私はどうしてもコペンハーゲンが一番好きだ。この列車は付近の住民も利用していて自転車の持ち込みが許されていることでも有名だ。この空港には主要通貨からクローネへの自動両替機がある。

 スエーデンに行くのに何故、コペンハーゲンかというと空港から、この快適な列車で国境を越えて古い街並が残るマルメにすぐ入ることができるからだ。マルメの北には首都ストックホルム、大学町ウプサラなどがある。少し日程に余裕があれば飛行機を避けて列車で移動するのが便利だが、その場合コペンハーゲンを起点にするのがおすすめである。前置きが長くなったがマルメに行く列車の窓からぼおっと景色を見ていた。古い街並を抜けると橋を渡って間もなくスエーデンに入る。その橋を渡るときに地元の人が教えてくれた。デンマークには古くから洋上風力発電があり最近見学に訪れる人が後をたたないのだそうだ。ここで疑問は解けた。ところでこのÖresundsbron橋(注:スエーデン側の表記)は実に美しい。写真のように夕焼けのシルエットは本当に絶景である。

 

Oresund Bridge - Malmo Sweden

 

 調べてみると1991年にデンマークで世界最初の洋上発電所が建設されたが、その後ヨーロッパ各国に広がり、北海の豊富な風力を使い2010年現在の総発電能力は、イギリスが1.3GWとダントツの1位で、ヨーロッパの残りの国の総発電能力はデンマーク、オランダ、ベルギー、スウェーデン、ドイツ、アイルランド、フィンランド、ノルウェーと続く。コペンハーゲンの洋上にあるミドルグロン洋上風力発電所は、世界的に有名でこの場所を見学する研究者が多い。一口に洋上発電と行っても水深で工法は様々である。もちろん水深が深いほど工事は難しくなりコストも上がる。風力発電については別記事(http://rad-horizon.net/topical-technologies/48-wind-power)があるので、参考にして欲しい。

 

Foundations-1

 

 上のイメージのように水深の異なる海底に、基礎を打って荒天と海水に耐性のタワーを造り、信頼性の高いローターを設置するが、ある水深を超えると浮かせた方が楽になる。

 洋上に浮上して移動できる方式を浮体式風力発電所という。現在、出力2.3MWのものがノルウエー沖に設置されている他、世界初の大規模事業として「福島洋上風力コンソーシアム」という(http://www.fukushima-forward.jp/)集合型風力発電所が建設される。7MW浮体式洋上風力発電設備2基を2015年までに建設する事業(注)で、「ふくしま未来」と呼ばれる、最初の浮体式ユニットが移送されたことも記憶に新しい。2013年、11月11日、2MWの風車が回り始め、浮体式洋上風力発電所の実証研究事業がスタートした。来年度中に設置される7MW風車2基が動き出すと、発電規模は合計16MWとなり、浮体式では世界最大となる。

 

offshore wind platforms copy

 

(注)2012年3月に経済産業省からの受託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」。7MW油圧ドライブ型浮体式洋上風力発電設備用浮体1基の建造が終了。2014年夏には海底ケーブルで電力を供給する。

 実は洋上風力発電所のコストは水深50mを境に悪くなるが、遠浅の海岸が少ない日本は、浮体式洋上風力発電所が有利とされている。ヨーロッパの洋上風力発電所はシーメンスの独壇場であるが、三井造船を始めとした企業連合で望む日本の力が試される。実際、日本は海岸線の長さが世界第6位である。この有利さを生かせば陸地では問題になる低周波公害も無くなる。

 日本の技術を総動員して自然エネルギーへの転換を計画的に行い25%の原発分の置き換えにとどまらず、火力の分も減らすことを示して欲しい。福島洋上風力コンソーシアムには大手商社を筆頭に重工業メーカーが名を連ね協力して短期間で最先端の技術を終結した。ゼネコンの是非はひとまずおいておいて、企業連携能力は突出したものがある。エネルギー危機に立ち向かうにはそれが大きな武器となることは確かだ。下の写真はスエーデンの洋上風力発電所、Lillgrund Wind Farmである。いつか日本の沿岸にもこのような光景がみられるのだろう。

 

Sund mpazdziora

コメント   

# Koshi 2014年07月05日 15:07
こういう事業を10倍のスケールで10年やったら、いいと思う。
そう難しいことではない。

がんばれ。
ふくしま未来に希望を託したい。。

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