HDMI端子にさして使うTV-逆襲のシナリオ

 仙台にあるSonyのTV工場は311震災のときに津波で被災した。現在はかろうじて操業をしているが、工場の一部を民間に貸し出している。現地に行くとかつてのクリーンルームが抜け殻のように残り、心なしか周辺の地域経済も活気がない。きけば会社のリストラに反対する労使抗争が起きているそうだ。


 そんな中でSonyの新経営トップはTV事業を(切り売りせずに)分社化する発表を行った。V字回復中の先に黒字化を見込んでのことである。新CEOはandroidをTVの"OS"に採用したが、インテリジェントTVを家電の中で覇権を失ったTVに主役への返り咲きを狙うシナリオを描く。サムスンと合弁で設立したS-LCDを手放したSonyはTV向けディスプレイパネルの生産から手を引いているので、コモデテイ化した部材の価格競争に巻き込まれず、ソフト面で機能を持たせるということらしい。

 

HDMI Connector

 

 ところで最近、HDMI端子にさしてTV画面を従属的に、あるいはネット端末的に使う機器が急増している。HDMIとは High-Definition Multimedia Interfaceの略で、Silicon Image、ソニー、東芝、トムソン、パナソニック、日立製作所、フィリップスの7社が共同で規格を策定した、映像・音声をデジタル信号で伝送する通信インタフェースの標準規格である。写真に示すようにコネクタは統一からほど遠くAからEまでの種類があるので、HDMI端子をつないでも、機能しなかったり繋ぐ事すらできない場合がある。

 

connections


 TVに何かをさして使うきっかけになったのはHDMI端子に限らないがTVに接続してネット端末化するapple TV(上の写真)ではないだろうか。apple TVは一言で言えばiOSで動くcpuを持つ周辺機器を持たないPC(iphone)である。これまでのセットトップボックスがチューナーで受動的であったのに比べてスマート機能を低価格でTVに与えた。ネット上のコンテンツを見たり、映画や音楽を購入できるiTunes Storeのコンテンツを視聴したり、iPhoneやiPad、パソコンのiTunesにダウンロードした購入済みのコンテンツを再生したりできる。 またPodcastや、YouTube(注:米国URL)などの動画共有サイトにも対応しているので、スマホ機能をTV画面で楽しめるようになった。

 このことでTVから離れてしまった家族をふたたびリビングに集めて団らんのひとときが戻って来るかも知れない。昔は食事の後、米国の家族には父親を中心にTVを囲む団らんがあったが、いまは子供達はスマホを持って部屋に引きこもる。米国に限らず世界的な傾向である。TVの周りの団らん風景は中産階級とともに社会から消えていった。

 

Family watching television 1958


 appe TVに刺激されてか、最近は注目されているTVにさして使うHDMI機器に人気がある。例えば以下のようなものがある。

 Apple "AirPlay"や "Google Cast" "Mirror Cast"等、豊富な拡張機能のミラーリングに対応したWireless HDMIは一般的である。これにはmiracastやmiracast対応/DLNA対応のezcastがある。基本的にはワイアレスHDMIでありTVを端末として従属させて使うものだ。タブレットにダウンロードしたコンテンツをHD画面でみることができて便利だ。


 HDMI端子にさすだけで自作ビデオや1080p以下で収録したDVD、ダウンロード映画やYou-tube, Huluなどのオンライン動画を、AndroidやiPhoneやiPad端末経由してご自宅のTVへ転送再生が可能となる。

 後発ながらandroidスマホの流通で急速に普及しつつあるGoogle Chromcastはオンライン動画や音楽などをTVで手軽に楽しめるストリーミングプレイヤーで対応OS : Android 2.3 以上、iOS 6.0 以上、Windows 7 以上、Mac OS 10.7 以上となるスマホやPCを制御上位に持ちつつも自立して動作する。 動画出力の最大解像度は1080pxl 、Wi-Fi 802.11 b/g/n 、標準画質で 1.5 Mbps 以上、HD コンテンツで 3.0 Mbps 以上の性能を持つ。

 

Chromecast dongle

 

 これらの機器は大画面TVの使い道を開拓した。通常のエンンタテインメントの枠を越えてスマホやPC同様の機能を与えたのである。そうしたHDMI端子で武装したTVの活路はどうか。増えすぎた液晶パネルに機能を与える事は間違いないが、その前にHDMI端子コネクタに互換性をもたせてくれ、といいたくなる。なお各機器の細かい仕様は微妙に異なるので使用目的によっては充分な調査が必要だ。一家団らんが戻るかといえばその確率は残念だが低いだろう。しかしそれでも食事中にスマホをみる習慣だけはなくすことができるのではないだろうか。それでも充分だ。

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