3Dディスプレイは日本企業向きかー問われる問題解決能力

 街には3Dデイスプレイを目にする機会が多くなった。シネプレックスにはたいてい3D映画が上映されているし、ときには2D版、3D版を選べる場合もある。呼応するように国内液晶テレビメーカーから相次いで3Dディスプレイが発表されている。3D-TVは「アバター」(下)や「不思議の国のアリス」など3D映画の宣伝効果のため話題には事欠かない。映画やTVにとどまらずPCやスマホにも対応機種が出始めている。ここで3Dデイスプレイの将来性を探ってみよう。

 

 

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 一昔前の3Dというと、左−赤と右−青のめがね着用形式で下に示すように左右の目で焦点(画面)をずらせることで、遠近法の錯覚効果で、立体像をつくるものである。しかし、映画館で配られる眼鏡は最近のものはグレーだ。これは偏光板を用いたものである。3D表示システムは一見すれば技術的に進歩を遂げている。

 

 しかし本当にそうか。実は3D放送の配信方式は規格化からほど遠いのだ。3D放送のside by sideという左右の映像を同一面上に表示する方法を例にとってもRealD(米国RealD: http://www.reald.com/)、SENSIO 3D(カナダ SENSIO Technologies Inc.:http://www.sensio.tv/en/default.3d),Dolby 3D(米国、Dolby Laboratories: http://www.dolby.co.jp/index.html)などの方式があり規格化されていない。またDolby方式は民生用ではなく映画館に限られた方法である。このような状況はこれまで一昔前のビデオ、DVDや現在でもTV方式が様々な規格が統一されていないのと良く似ている。

 

How a lenticular lens works

 

 一方、裸眼3D方式では、パララックス・バリア方式(遮光板を用いて、右画像と左画像を分ける方式。遮光板と眼の距離や、視聴者が動くことによって見え方が変わってしまうため、視聴者の位置をモニターして遮光板のスリット間隔を調整する必要がある。そのため、多人数での視聴には向かない。、レンチキュラー・レンズ方式(注)などが提案されている。

(注)レンチキュラーレンズを用いて、左右の画像を分けるため、視聴者が動くと見え方が変わってしまい、視聴者の位置をモニターして光の屈折方向を調整する必要がある。そのため、これも多人数での視聴には向かない。

 根本的な問題として左右の映像を1画面に表示するためフルHD(full high definition)の半分の画素量となってしまう点がある。そのため解像度を上げる必要があり、データ圧縮方法もMPEG-2からH.246への移行が考えられているなど混沌としている。また、現状の方法であると2次元面上に擬似的な手法で3D化するため、映像酔いなどがあることも報告されている。またside by sideではめがね等の補助具が必要であり、幼児や高齢者などを対象にしたシェア拡大の障害になる。

 技術的には未熟であるが期待できる分野もある。現在では映画やゲームが中心であるが、医療シミュレーションなどにおける3Dイメージは重要なアプリケーションであるため、今後重要なニッチ技術となる。

 

Melanoma3DMovie

 

 今後3Dディスプレイが現在の2Dディスプレイに変わるためには標準化以外にも多くの課題が残る。

1. 補助具なしの3D映像
2. 多人数でも視聴可能
3. 大画面化が可能
4. フルHD化が可能
5. アプリケーションの拡大
6. 低価格化が可能

 日本の民生技術はこうした課題をひとつひとつ地道に解決していくことに能力を発揮して来た。今後、デファクトスタンダードとなるため、熾烈な競争が続くと思われるが、国際的に主導権を握るためには国内の競争を企業間の連携で統一し、一本化して新興メーカーに立ち向かう必要がある。振興メーカーは技術開発を基礎からやらずに途中からキャッチアップするので、効率は上がるが問題解決能力が低い。国内メーカーは長期的ビジョンをたてれば国外メーカーに差をつけることも不可能ではない。

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