消え行くPCへのノスタルジー-Life After PC

 人類絶滅後の世界は一体どうなるのだろうか。興味のある人はLife After PeopleでYoutubeを検索して欲しい。地球上の資源の枯渇は予想される人口増加を支えきれるはずがないから、このままいけば何らかの形で現実となる。これはSFの世界の話ではない、現実の話だ。実際、国連のAgenda 21では適正な人口にしなければ人類が絶滅するという警告を発している。Agenda 21はNew World Order(世界統一政府)の人口減らしととる人も多い。意識的な人間の関与がない場合、自然淘汰は自然界の掟だが、電子産業の淘汰のタイムスケールは非常に早い。増えすぎたPCはオフイスや家庭でも邪魔者扱いで、タブレット、スマホの台頭とXPサポート打ち切りのあおりもあって減少傾向に歯止めがかからない。

  

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 かつて米国の一般的家庭の書斎にあったIBM-PC。頑丈な鉄製のケースに収まったこれまた分厚い基板とカチャカチャと独特な音をかき鳴らすストロークの長いキーボード。日本のPCメーカーの中にはほぼCOPY製品を販売したものもあった。古風なCRTにもうるさいキーボードも、ふれたことのある世代にとってはノスタルジーである。

 米IDC Corp.の予測では2006〜2011年のPC年平均成長率は9.6%である。出荷台数と年平均成長率は、かつての勢いはみられないが上昇傾向を続けている。しかしその内訳は変化の兆しがみえてきた。ノート型が高性能化し、低価格化により主力商品になってきている一方で、主流であったデスクトップ型はノート型より低価格であるセパレート型からコンパクトな一体型に人気がシフトしてきた。低コスト商品があふれる今日、価格で売れ筋が決まらない珍しい現象が生じた。ここではその理由について考察する。PCのシェアはスマホ、タブレット勢の前に飽和をみせる。飽和の後はゆるやかな落ち込みが待っている。

 

image copy copy

 

 高コストのノート型や一体型のデスクトップが主流になってきた背景には、セパレート型で面倒だった配線(色分けし接続が簡素化しているが)の煩わしさがないこと、カラーバリエーションなど選択肢の多いことがある。ノート型は、オールインワンと呼ばれる3kg以上のもののシェアが高い。持ち運びの多いモバイル用途では無く、従来のデスクトップの代わりとして使用している顧客の都合で機種を選定しているからだ。これらのユーザーは、画像・映像関係に使用する傾向が高いいわゆるパワーユーザーで、液晶はグレアが大半、チップセットではなくグラフィックアクセラレータを搭載するなど強化している。

 多目的に使えるというのは、顧客のニーズに対応能力が高い反面、用途が決まってしまうと専用機より使いにくい。当初、メーカー各社はゲームへの利用を想定していたようだが、ゲーム機としては専用機であるPSやWiiに価格・使い易さは到底及ばない。また、パソコン用のゲームソフトもプレイステーションやWiiのようにソフトを囲い込む戦略が立てられなかったのもPC陣営の敗因であろう。逆にこれらの専用機の最新型にはLANが装備されていてネットゲームをする以外に、つなぎ込まれた大画面テレビでインターネットを利用できるので逆にPCを包含する。

 電子機器間の垣根が取り払われると棲み分けが薄れ、一般的なデスクトップ型は次第に方向性が見え無くなってきている。テレビとの融合も試みられている。まだテレビ側にコンピューターを有効に使うインフラ・ユーティリティーが確立されていないが、東芝がCELLを搭載した液晶テレビを販売したことをきっかけに、今後はインフラ・ユーティリティーが進むのかも知れない。ノート型はモバイル用としては通信機器が充実して、通信に関する規制が緩和されればIP Phoneや、携帯電話との融合が加速すると思われる。どちらにしても、今後ビジネス以外としてパソコンはパソコンとして使われるのでは無く、家電・携帯電話と融合していくと思われる。方向性は異なるがRegza-TVやapple TVは兆しととれる。最新機器としてはGoogleの発売した、HDMI接続してYouTube動画などを楽しめるスティック型デバイスChromecastがある。スマホやタブレットからTV画面へ動画をとばす機能も増えて来ている。

 ハードウエアに要求される能力も増大の傾向にある。2010年1/4期では32nmまで微細化が進んで来たが、MPU高速化は微細化よりマルチ化に移行している。1コアの処理能力は極端に向上することは無いだろう。既に、ワンチップ6コアまで進んできた。ムーアの法則も物理的な限界に近付いたこともあり、マルチ化は順当な進化の方向と考えられる。家電では、メガネなど補助具無しのテレビの3D映像化も、画像処理スピードが重要になるはずであるから、高速演算処理をさせる為に進化してきたPCのテクノロジーは家電にも活かされていくはずである。

 

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 こうした背景から何が読み取れるのであろうか。それは一言で言えば過去はメーカー主導で顧客に「ムーアの法則」に対応した一定の間隔で新機種を買わせ、ユーテリテイソフトで囲い込み、利益を得て来た。このからくりに購買者が気付くまでは順調な伸びを示していたが、最近の傾向は強力なハードウエアとソフトウエアを顧客が所有する時代は終焉に向かい、ネットワークで仮想的にリソースの所有をするクラウドの方向に動いている。高価格PCを厳重なセキュリテイ管理のもとで所有する必要がない。5万円で変えるネットブックの普及は何よりユーザーが自由を望んでいたことによるところが大きい。PCの機能はクラウド主流になる一方で、PCは進化して家電と融合して次第に姿を消していくと予想できる。

 このことが現実的になった例がUltrabookとスマホから派生したタブレットだ。これらの展開はオーソドックスなPCが起死回生をはかったともとれるが、PC-OSを脱却した点において一線を画する。PCの絶滅を目前としたネット中心のこれらの動きは絶滅後に現れる新種なのだろうか。これらについては別途、考察を行う予定である。

 

IFA 2010 Internationale Funkausstellung Berlin 18

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