量子ドットレーザーのスプリットモード(波長分裂)現象

ユタ大学の研究チームは、スプリットモード(波長分裂)現象と呼ぶ波長分裂現象を見出すとともに、それを利用して量子ドットレーザーの課題であった欠陥に起因する利得損失問題を解決した(Lafalce et al., Nature Comm. 10: 561, 2019)。

 

量子ドットレーザーの課題〜欠陥による利得損失

幅約100原子の大きさに成長した半導体材料の量子ドットレーザーではドット結晶のサイズに依存して、青色光から赤色光、さらには赤外線まで、光ビームの波長が得られる。その利点はドイツ材料の結晶を異なるサイズで成長させるだけで特性を調整できる利便性にある。

一方で、欠点は、量子ドットレーザーには、光を複数の波長に分割する非常に小さい欠陥が含まれているため、それによってビームのエネルギーが分散され、強度が低下することである。理想的には、レーザーでパワーを1つの波長に集中させる必要がある。

 

波長結合で欠陥課題が解決

研究チームは、セレン化カドミウムの50個のディスク型量子ドットレーザーを作成したが、量子ドットのほとんどすべてにビームの波長を分割する欠陥があった。そこで研究チームは2つの量子ドットレーザーを結合して波長分割を修正するアイデアに注目した。ポンプ光(緑色)を照射すると量子ドットは光を吸収し、より強力な赤色光ビームを再放出するが、第2の量子ドットレーザーに緑色ビームを当てると、その利得が増加し、2つのレーザーのゲイン差がなくなった。 2つのレーザーの利得が同じになると、2つのレーザー間の相互作用によって、エネルギーが単一の波長に集中することを見出した(下図)。

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Credit: Nature Comm.

 

空間利得変動下でのマイクロディスクペアのレーザー放出。a レーザーペアの中心とビームスポットの中心との間の放出強度対波長および相対距離ΔDp。 左側にポンプビームスポットを模式的に示してある。 マイクロディスクのペアが中心に近づくと、635〜645 nmの範囲のスプリットモードが結合します。

b点線で囲まれた領域から得られる、欠陥のあるマイクロディスクとΔDpのモード分裂。 実線は、結合マイクロディスク間の利得変動に起因する欠陥マイクロディスク内のキャビティ内モードの結合。モデルパラメータは、κ= 3.8×10 11 s-1、γ23 = 1.2×1012 s-1およびγ13 = 0 s-1

 

量子ドットで欠陥のないレーザーを作ることは困難でコストがかかるが、波長結合はより柔軟で費用対効果の高い方法となる。つまり完全な量子ドットレーザーを作る必要がなくなったのである。今回発見された波長分裂現象は光情報の制御に役立つと期待されている。

 

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