マイクロ波光子のTransmon量子ビット

シカゴ大学の研究者チームは、強く相互作用するマイクロ波光子でできた量子物質を探査するプラットフォームを開発した(Hazzard, Nature online Feb. 06, 2019)。

 

量子計算機では長いコヒーレンス時間を持ち、強い相互作用を持つ超伝導回路が用いられる。問題は回路での光子の損失(散逸)が多体相関相(モット絶縁体)の形成を遅らせることがあることで、この問題に対処するために、彼らは、光子の貯留層を加えた回路設計でモット絶縁体を完成する概念を提案した。

研究チームは、初期の電荷量子ビットに代わる「Transmon量子ビット」(注1)へ単一光子を取り込む方法を検討し、Transmon量子ビットが空のとき、マイクロ波で生成された電場で光子を追加したり、既に収容されている光子を削除することもできることに着目した。

(注1)初期の超伝導量子ビットには電荷型、磁束型、位相型があったが、現在は電荷型が主流で、Transmon量子ビットはその派生である。

 

研究チームは光子を対としてTransmon量子ビットに収容することを提案している(その場合、余分な光子は貯留層に自然に移動する)。またTransmon量子ビットにすでに光子がある場合はそのまま保存される。次にTransmonを加えて連鎖を形成する場合を検討した。追加された光子は鎖に沿って進み、空いている場所がなければ貯留層に移動する。やがて、系は鎖の中のすべての場所が単一の光子で満たされるようになり、これはモット絶縁体状態に相当する。

 

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Credit: Nature

 

上図にモット絶縁体が完成する過程を模式的に示した。aある場所に2つの光子がある場合、1つの光子がその場所と「貯留層」の間を移動する可能性があり、その後すぐに散逸する。 bサイトに単一の光子がある場合、それは貯留層に移動しない。 c末端を貯留層に結合するには、末端が単一の光子によって占められる必要がある。他のサイトのいずれかが2つの光子によって占められている場合、光子のうちのひとつは、それが最終サイトに到達するまで移動し、その後貯留層に移動する。 dこのプロセスの最終状態はすべてのサイトに光子が収納されたモット絶縁体である。

研究チームは、このスキームは柔軟で、したがって、異なる形状、サイズ、およびカップリングを持つシステムに適用できるしている。

 

 

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