深層学習による電子顕微鏡画像解析

電子顕微鏡画像の解析には膨大な労力が必要な作業である。そのためMENNDL(Multinode Evolutionary Neural Networks for Deep Learning)、オークリッジ国立研究所の研究チームは深層学習のためのマルチノード進化ニューラルネットワークと呼ばれる手法を開発した。

 

MENNDL〜AIが開発するAI

MENNDLは人工的なニューラルネットワークを作り出し、画像データをスパコンノード上で、1秒間に1億5200万の計算を実行し、電子顕微鏡画像を分析時間を飛躍的に短縮する。 MENNDLは、走査型透過電子顕微鏡データにおいて原子構造情報を自動的に同定することに成功し、有用性を実証した。

人工知能システムのMENNDLは、生の原子分解能顕微鏡データから構造情報を抽出するために最適な深層学習ネットワークを作成した(注1)。ネットワークを設計するために、MENNDLはスパコンの利用可能な3000ノードの18,000 GPUを使用した。

(注1)MENNDL はAIがAIを開発する手法と表現される。深層学習で必要な計算能力は、画像処理の計算能力と似ているため、画像処理に特化したプロセッサGPUが活用され始めている(下図)。

 

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Credit: blog.intent.to

 

MENNDLによるSEM像解析

数時間で、MENNDLは、サポートベクターマシンで拡張されたスケーラブルな並列非同期遺伝的アルゴリズムを使用して、優れた深層学習ネットワークトポロジとハイパーパラメータセット(注2)を見つけ、数100万のネットワークを作成しこれらを評価する。まさにAIがAIを開発するという表現がふさわしい。

(注2)ハイパーパラメータとは、機械学習アルゴリズムの挙動を制御するパラメータのことで、学習を行う際に人間が予め設定しておく(お膳立てをしておく)必要がある。ハイパーパラメータの最適化(チューニング)が鍵となるため、ヘイズ推定を用いるヘイズ最適化や遺伝アルゴリズムを使う方法など様々なアプローチが提案されている。

 

同じ画像を異なる分析方法で表示して下図に比較した。 a)生の電子顕微鏡画像。 b)人間の専門家によって表示された画像中の欠陥(白)。 c)フーリエ変換法でラベル付けされた欠陥(白)。 d)最適なニューラルネットワークによってラベル付けされた欠陥(白)。 存在しない欠陥は紫色で表示され、識別されなかった欠陥はオレンジ色で表示されている。ほんの数時間で、人間の専門家と同様に機能するニューラルネットワークが作成され、MENNDLが電子顕微鏡画像を分析する時間を大幅に短縮できることを実証した。

 

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Credit: DOE

人間の専門家よりはるかに高速な、画像処理のAI化はナノ加工材料で威力を発揮すると期待されている。

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