白色LEDは省エネルギー社会のデイファクトか

 社会が必要とする電力を安定に供給するはずの原子炉に黄信号がともりはじめた。事故をきっかけに運転にともなう核廃棄物の処理について目が行き届くようになったからだ。スマートグリッドに突き進む米国でもオフグリッド(注:詳細は別稿に譲る)といってスマートグリッドに頼らずに生活を設計する動きもでてきた。

 省エネルギー発光デバイスとしてグリーンテクノロジーを牽引するLEDの果たす役割は大きい。最も需要の多い電球用途では白色光が好まれる。現在、白色LEDには4種類が存在する。A.波長460nm(青色)のInGaNと460nmの光を励起源にY3Al5O12:Ce(YAG)など黄色を発光させる蛍光体を使うタイプ、B.波長365~420nm(近紫外)と365~420nmで青から赤色(青蛍光体BaMgAl10O17:Eumado,緑蛍光体Ca3Sc2Si3O12:Ce,CaSc2O4:Ceなど、赤蛍光体CaAlzSiN3:Eu,(Sr,Ca)AlSiN3など)を発光させる複数の蛍光体を使うタイプ、C.波長500nm(青緑色)のInGaNと588nm~590nm(橙色)のInGaN、GaAsPまたはAlInGaPなど橙色を発光するLEDを組み合わせたタイプ、D.465nm(青色)のInGaN、520nm(緑色)のInGaN、630〜700nm(赤色)のGaAsP、AlInGaP、GaAlAs,、GaPなど3色のLEDを用いるタイプの4種類である。下に発光体の構造を示す。

 

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 生産コスト面からAタイプが主流となっているが、二色が元になっているため、照明対象物の色が再現されない、蛍光体とLEDの配光ずれから色が分離しやすいなどディメリットがあるが、蛍光体が1種類のため、光の吸収が少なく発光効率が高い。Bタイプは一般的に赤・緑・青の蛍光体を近紫外線LEDで励起するため、照明対象物の色の再現性には優れているが、近紫外線のため、蛍光体と周辺樹脂が劣化しやすい。Cタイプは青緑と赤黄の組み合わせであることから色再現性に適している。Dタイプでは、緑の発光効率が低いことから実際には(赤、緑、緑、青)4つのLEDチップを反射板で囲んだRGGBとして使うことになる。色の再現性やフルカラーが出力できるなどからC,Dタイプが良さそうに見えるが異なった素子を発光させるために制御回路を独立させなければいけないなど生産コストが高い。

 現状では、白色光ではAタイプをマルチカラーではCのタイプが有力視されているが、高効率の蛍光材タイプも並行して開発が進められている。特に、三菱化学では子会社であったオプトエレクトロニクスを吸収して研究開発に力をいれている。一方、LED自体も高効率で発光させる必要がある。今まではサファイア基板上にGaN薄膜を積層させていた。これもサファイア結晶とGaN結晶の格子定数が異なるため、そのままでは結晶薄膜が積層しない。GaNの結晶格子に合わせるためにサファイア基板の結晶面を機械的に削っていた。GaN基板を使えば転移の少ないデバイスが作れるが、最近まで欠陥の少ないGaN単結晶を作ることが困難であった。Cree Inc.は良質の単結晶基板開発に成功し、三菱化学と独占契約を結んでいる。国内メーカーもGaN単結晶基板を販売しているが、まだ需要が少なく、サファイア基板より高価なため、GaN基板を使うLEDメーカーは数社である。コストダウンを図るため、シリコン基板による青色発光LEDの研究も続けられている。写真は白色LED発光体である。

 

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 水銀など有害物質を含む蛍光灯や消費電力の大きいフィラメントタイプの照明器具がLEDで置き換わることは間違いないが、性能以外に考慮すべき点もある。欧米のホテルやレストランの室内は薄暗く感じる。これは、欧米より東洋人の虹彩が輝度・明るさにたいして耐性があるためで、蛍光灯は日本ほど使われていない。日本では普通のシーリングライトは欧米ではみることはない。部屋全体を明るくすることをむしろきらい、読書や食事などに差し支えない局所照明が普通である。日本のオフイスの整然と蛍光灯が並ぶ天井や豪華なシーリングライトは無駄な電力消費ではないだろうか。ところで電球をLEDで置き換えようとすると、電球色と昼白色を選ぶ事になる。後者が白色LEDをそのまま反射して指向性を落としただけのもので、エネルギー効率は良いのだが実際に置き換えをすると違和感があるので、値段の高い電球色に人気がある。電球色ではフイルターの関係で値段が高く、同じルーメン数で比較すると消費エネルギーが多い。また初期に問題となった指向性は改良が加えられ広がりはかなり改善され実用的なレベルとなった。

 

コメント   

# daisuke 2014年04月18日 15:34
LED電球は選定に時間をかける必要がある。寸法が微妙に電球と異なる。装着できない場合も有るので、大量に発注する前に試しにつけてみないと大変なことになるかも。私の場合、昼白色はどうもなじめない。やはり電球色がほっとするのです。発熱もかなりあるのでエネルギー効率はまだ改良の余地があるのでは。

量販店価格はまだまだです。ネットで最安値をみつけましょう。
# Toshihiro 2014年04月20日 13:52
昼白色は白すぎて赤いものが汚く見え、電球色は黄色すぎて色彩感が乏しくなるように思います。温白色という のもあり、なかなかいい色のものもあるのですが製品が非常に限られ、だんだん無くなってきたように思います 。それに実際の色がばらばらです。蛍光灯も以前はいろいろな光色があったのですが、最近は乏しくなってきて 、気に入った色の照明が得られず、居心地がわるくなってきました。LED電球はちらつくものや、ちらつかな いが電磁ノイズのひどいものがあり、目立たないところで手抜きされているように思います。LED電球は高価 で寿命が長いので、選択を間違えると身近に居座ることになり、不愉快です。

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