ヘリコプターはオスプレイより安全か

 オスプレイの安全性が話題になったが、安全神話が確立している大型ジェット機でも初期テスト飛行中の事故は意外に多い。ローターでなくジェットエンジンの吹き出し口の方向を垂直にしてから上空で水平に動かして飛行する英国のハリアー戦闘機は米国の海兵隊にも配備されているが、その事故の多さは異常に高い。また初期のテスト飛行での事故率も高いのでオスプレイならずとも垂直離陸から水平飛行に移る際の不安定性は一般的なものなのだろう。


 ヘリコプターの墜落事故のニュースを耳にする。山間部の多い日本での運用は一体安全なのだろうか。よく目にするのは単純な構造を持つ小型機、Robinson社製のR22である。R22はレシプロエンジンの2人乗り低価格機のため、訓練機としても使用されていることなどから、軽量ヘリコプターとしてはシェアが高い。シリーズとして4人乗りのR44がある。訓練機としてはその他にSchweizer社製の300CB/CBiが使用される。メインローターブレードがR22は二枚に対し、300CB/CBiは三枚である。R22と300CB/CBiを操縦してみるとサイクリック(操縦桿)が300CB/CBiの方が重く感じる。写真はR44である。


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 ヘリコプターの問題点を探ってみよう。まず重量の絶対値とアンバランスな積載である。それぞれの機体で最大重量(航空機重量+燃料+搭乗者体重+貨物重量)が決まっていて、その重量を超えて飛ぶことはできない。遊覧ヘリコプターでは体重測定がある場合もあるほどである。操縦はどうか。ヘリコプターの操縦は右手でサイクリック、左手でコレクティブ(昇降舵)とエンジンスロットルを操作する。エンジンの回転とメインローターはトランスミッション・クラッチを還して直結される。そのため、エンジン回転数が低いとメインローターの回転が低くなり揚力が得られないが、回転数が高いと、エンジンが高温になりエンジンオイルの焼きつき等エンジントラブルの原因となる。

 両足でアンチトルクペダル(テールローターのピッチ角を制御して機体の向きを一定に保ったり変えたりする)を制御する。ヘリコプターはメインローターの取り付けロッドの軸上に支点がある振り子の動きをする。地表近くのホバリングでは、自機のメインローターが起こす、ダウンフローの風に機体が煽られるため地表近くでのホバリングは操作が一番難しい。飛行時はサイクリックを前に倒す。このときメインローターブレードのピッチ角が浅いと降下していくが、深いと上昇してしまう。ピッチ角を深くしすぎるとブレードの空気抵抗によりエンジン回転数が下がる。つまり、ヘリコプターの操縦では複数のバランスを同時に取ることが必要となる。写真はローターの付け根にあるギアボックスである。回転力を伝達すると同時にピッチと軸方向を制御する重要なメカである。


Helicopter Bristol 171 Sycamore main gear box and rotor head

 人命救助で困難なのは、できるだけ要救助者の近くにロープが下りるようにするため、ヘリコプターはできるだけ地表近くでホバリングすることである。森や林では木々に救助ロープが引っ掛かるとヘリコプターは墜落する危険がある。救助者がロープで引き上げる際に暴れたりするだけでも墜落の危険がある。また、低空で飛ぶ場合、電線に気が付かず接触して墜落するケースも多々ある。ヘリコプターにも高度・速度・昇降・旋回計や水平儀、コンパスなど搭載されているが、有視界飛行が基本であるため、視界不良の場合は飛行禁止になるが、良好な視界でも注意していても高圧線など見つけるのは困難を極める。コックピットからテールローターを見ることは難しく、低空でホバリングしているときにテールローターが木々に引っ掛かり破損させることもある。

 日本でヘリコプター事故のニュースが多いのは、構造上の安全性に問題があるのではなく、ヘリコプターが日本の国土に適しているためそれだけ頻繁に利用されていて、地形、建造物や電線、天気の変動、気候など副次的な要因によると思われる。一方では郊外にでると高圧線や、最近になって急増した携帯電話アンテナ、使用途不明な鉄塔の数に驚くのではないだろうか。高圧線のメンテ自体ヘリコプターが使われることもあるが、低空を飛行する際にこれらの構造物に注意を払うのは大変な苦労だろう。

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