身近な被爆について

 夜間の計器の視認性を高めるため現在は各種の発光デバイスや液晶デイスプレイが主流となっている。腕時計の世界は夜光塗料がいまだに主流のままである。夜光塗料も様々な種類があるが、夜光塗料が原因の被ばく事故をご存じだろうか。


 夜光塗料は現在、非放射性物質である化学蓄光顔料が主流になりつつあるが、以前は蛍光塗料として放射性物質が一般的であった。現在でも高輝度の文字盤で有名なLUMINOX腕時計には重水製造の副産物であるトリチウムが使われるため、ユーザーは電池交換が許されていない。

 一般に蛍光塗料は外部からの光の刺激で発光するが、放射性物質から放出される放射線の励起で持続的に発光するようになり、これを自発光塗料と呼ぶ。放射性物質としてはラジウムが1900年代の初めからアメリカで主として夜光時計用に用いられていた。夜光時計を製造した女子作業員たちは放射性物質を含む夜光塗料を文字盤に塗布する際、筆の穂先を尖らすために唇で舐めながら作業をした。夜になるとお互いの唇が蛍光でほのかに光るため最初のうちは楽しんでいたようだが、これが悲劇であった。ラジウムを体内に取り込み体内被曝を受けたのである。

Luminescent watch-trim copy

 

 話は変わるがバチカンの悪事を鋭く描いた映画「薔薇の名前」では書物の頁端にヒ素を染み込ませ、頁をめくる際に舐める癖のある僧侶がヒ素中毒で殺されるシーンがある。

 台湾では原子炉材料の鉄材が建設資材として建築に使われたため、アパート住民が被爆した。加速器は運転しなければ安全だと思いがちだが、加速器部品が放射化するので注意が必要だ。また飛行機に積んであった放射線物質が飛行機が墜落して飛散し、金属片を拾った住民が被爆した。このほかにも身の回りにも被爆する原因は多くある。宇宙飛行士や成層圏を飛行する国際線のパイロット、また南米アンデスの高地に住む人々である。常に放射線と接している事実に目を向けなくてはならない。しかし、福島で作られる建材をつかった住居で被爆するという風評をでっちあげる(悪意のある)人たちがいることも事実だ。



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