重力波実験施設LISAのレーザー干渉計が実験室で実証

地球外の重力波測定施設LISAのレーザー測定技術をほぼミッション条件下で実験室で評価試験をすることが可能になった。マックスプランク重力物理研究所(Albert Einstein Institute; AEI)とライプチヒ大学の研究チームは、2015年から2017年にかけて宇宙でLISAの基本的測定技術をテストしたLISA パスファインダー計画と連携している。

 

LISAとは

LISAは地球上で到達不可能な重力波を検出する宇宙規模の測定施設で、国際コンソーシアムが、欧州宇宙機関(ESA)のプロジェクトとしてLISAを開発している。今回の実験で中心となる測定装置であるLISA位相計(下図)の機能を実証した(Schwarze et al. Phys. Rev. Lett. 122, 081104, 2019)。

 

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Credit: LISA

 

LISAは、2034年に欧州宇宙機関(ESA)によって宇宙に打ち上げられる予定で、ミッションは3つの衛星で構成され、それぞれの辺の長さが約250万キロメートルの正三角形のレーザー三角形を作成する(下図)。この距離では、重力波によって1兆分の1メートル変化する。

 

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Credit: LISA

 

これらの小さな変化を検出するために、LISA衛星の計器(位相計)はそれらの間で交換されたレーザー光を測定する。この測定は、8〜10桁の広い周波数範囲にわたって、低ノイズ、低歪みで行う必要がある。

重力波スペクトルは広い範囲の周波数をカバーしている(下図)。 LISAは(LIGOの10 Hz〜1000 Hzの周波数と比較して)0.1 mHz〜1 Hzの低周波数範囲で動作する。この違いは、LISAが探している波がはるかに長い波長を持っていることによる。

 

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Credit: LISA

 

一片が約100万マイルの正三角形を形成するLISAは、地球からのノイズを避け、これらの非常に長い距離を生かして地球でアクセスできないスペクトルの領域を測定することができる。

実験室でのLISAセットアップは、非常に正確で安定動作が必要になるため、以前の実験よりも10倍優れたノイズ源を排除する光学ベンチに設置されている。これにより、1兆分の数メートルの範囲のLISA精度が得られている。この光学ベンチでは、正確に定義された特性を有する6つの新しいレーザービームを得るために、3つのレーザービームが対で重ね合わされる。これら3つの混合ビームを巧みに重ね合わせてそれらの特性を位相計で測定し、機能を正確にチェックすることができる(下図)。

 

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Credit: LISA

 

LISAによる将来の重力波天文学

LISAは10秒から半日以上の振動周期で低周波重力波を測定するが、これは地球上の探知機では観測できない。そのような重力波は、例えば、銀河の中心で合体する、私たちの太陽より何百万倍も重い超巨大ブラックホールから放出される。先輩格のLIGOの限界を超えて新しい重力波観測施設の先端に位置付けられるLISAは、LHCとともに欧州の科学技術の成功例となることが約束されているが、ここでも国際コンソーシアムの体制が需要な役割を果たしている。将来の加速器やレーザー干渉計が宇宙規模に展開する時代になったことを実感させられる。

 

 

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