惑星に生命誕生をもたらした放射圧効果

星の形成が急速に起こった場合(超新星の爆発)、すべての惑星系が強い放射線にさらされ、急激な巨大クラスター化は惑星の表面密度が高く生命の出現が妨げられる。オーストラリア国立大学の研究チームの研究で、光子の圧力(放射圧)が星形成プロセスを制限したことが、生命誕生に重要な役割を果たしたことがわかった(Crocker et al., Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Volume 481, Issue 4, 21 December 2018, 4895–4906)。

 

若い星や巨大な星から放たれる強力な紫外光と可視光が、星を形成したガス中に広がっていき、宇宙塵に衝突して赤外線を散乱させると、重力に抗する圧力(放射圧)(注1)としてクラスター化を妨げる。研究チームによれば、この放射圧効果は惑星の表面密度を制限し、生命が形成できる環境形成につながった。

(注1)光子の運動量に起因する圧力。光圧ともいう。圧力はランダムに運動する粒子の衝突時の運動量変化に対応する力で、光子とガス粒子間の衝突の場合が放射圧となる。すなわち、ガスが光を吸収あるいは散乱すると放射の力を受けることになる。黒体輻射の放射圧PR次式で与えられる。温度Tに対して強く依存することに注意したい。

PR=4σT4/3c(σ、cはシュテファンボルツマン定数および光速)

 

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Credit: cnx.org

 

宇宙塵の多い銀河や星団で、星の集団が形成されやすい。一方、天の川のように星をよりゆっくりと形成する銀河では、他の要因が星形成プロセスを減速する。例えば銀河系は毎年平均2つの割合で新しい星形成がゆるやかである。近くの銀河でも比較的遅く安定した速度で新しい星を連続的に形成している。

研究チームは放射圧効果で星が銀河または巨大ガス雲の中で形成される速度かについての上限を明らかにした。若い巨大な恒星群の中に浮遊している塵状のガスは、赤外線を照射することができる。その際に恒星表面を離れる光子の吸収による「直接的な」放射圧と、吸収された光子自身の「間接的な」放射圧の複合効果によって、表面密度に上限が生じる。

 

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Credit: cosmotography

 

上図のように重力は中心に圧縮する一方で、星のコア内の核融合の熱と放射圧が押し戻して重力と不安定な平衡状態にある。

複合放射圧効果で最大星クラスター形成効率εmax〜0.9を上回るガス雲は、放射線により膨張するため、一定の表面密度以上に成長しない。研究チームはこの限界が中型質量ブラックホール前駆体の形成を妨げことで、生命誕生の条件となる表面密度の惑星が誕生すると考えている。

 

マクスウエルが1871年に理論的に放射圧の存在を示した後、1900年に実験的に検証された。真空中に置かれた金属の風車に光をあてると動き出す有名な実験の原理となる放射圧はソーラーセイルの駆動力である。一方、強い温度依存性を持つため、惑星内部のような高温や超新星爆発ではイオンや電子などの荷電粒子に大きな影響を与える。この研究では放射圧力効果が表面密度の最大値を決めることが、生命誕生につながった可能性を示した。今後、強力なレーザーを用いた極限環境の研究においては、高温で重要になる放射効果の理解が欠かせない。放射圧はより身近な存在になりつつある。

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