失われたγ線ブロブの謎〜弱相互作用重粒子(WIMP)と暗黒物質

銀河からのγ線バーストを見ると、銀河が非常に遠く離れているので、普通観測されるのは小さなスポットである。その銀河が大きなスポットとして現れた場合、銀河系の先にある宇宙深部の理解につながる可能性がある。暗黒物質の解明は次世代大型加速器の主要研究テーマのひとつであるが、γ線バーストの観測も暗黒物質の理解につながる実験のひとつである。

 

加速器科学から宇宙研究まで〜SLAC

現在、SLACの研究チームは、NASAのフェルミγ線宇宙望遠鏡のLarge Area Telescope(LAT)と呼ばれる計測システムで8年分のデータを収集し、そのような斑点の最も詳細なマップを作成した(下図)。(Ackermann et al., Astrophys. Journal, online Aug. 18, 2018)。

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Credit: Astrophys. Journal

 

これまでに知られている19のガンマ線源を含むブロブ(塊)は、星がどのように生まれ、どのように死ぬか、そして銀河が宇宙に放出されるメカニズムについての重要な情報を与え、宇宙の暗黒物質と宇宙磁気に関する理解の手がかりを与えると期待されている。

 

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 Credit: Astrophys. J

 

失われたγ線ブロブの謎

最も暗い衛星には星がほとんど含まれていないため、暗黒物質によってまとめられていると考えた研究チームは、銀河系の周りにあるγ線ブロブ(塊)を探索した。暗黒物質はWIMP(弱相互作用重粒子)と呼ばれる粒子でできている可能性がある。WIMPは衝突してお互いを破壊するとγ線を放出するので、超薄型衛星銀河からのγ線ブロブ信号は、WIMPが存在することの証拠となる(下図)。

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Credit: fermi.gsfc.nasa.gov

 

天の川の暗黒物質の分布から、WIMPがγ線を生成する様子を推定することができる。そこでフェルミ-LAT研究チームは、予測された衛星銀河に関連するγ線ブロブを探したが、何も見つからなかったことが謎であった(失われたγ線ブロブの謎)。

宇宙磁場が地球の磁場よりも約10億分の一ということが知られている。宇宙磁気はまた、暗黒物質との関係を持つ可能性があるため、γ線ブロブはγ線として現れる銀河磁場プロセスの理解にもつながる。

WIMPモデルに代わるものとして、暗黒物質は、磁場の存在下でγ線起源のより軽い粒子で作られている新しい理論が提案されている。暗黒物質の理解にはこのメカニズムを考慮する必要があるためフェルミ-LAT(下図)の今後の研究に期待がかかっている。

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Credit: SLAC

 

フェルミLATは3つの検出器で構成されている。最初の検出器はプラスチックアンチコインシデンス検出器、次にトラッキング用のシリコンストリップ検出器、最後にエネルギー分析のためのCsIカロリメーターである(上図)。

 

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