否定された重力理論が復活

セントアンドリュース大学を中心とする研究グループは、矮小銀河の内部の動きが巨大な銀河の近くにあると遅くなるとして、観測結果に合わないため以前否定されていた理論を復活させた。

 

研究チームは以前の理論(修正ニュートン力学、Modified Newtonian Dynamics, MOND)を検討し、変形したニュートン力学であるこの理論(注1)は観測結果に合わないと主張していたが、これは矮小銀河NGC1052-DF2内で内部運動が遅すぎたためであることが明らかになった(Kroupa et al., Nature 561, online Sep. 12, 2018)。

(注1)暗黒物質の存在を必要とする一般相対性理論の代替となる理論で暗黒物質を必要としない。

 

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Credit:  Wiki 

 

上図に示されるように可視光で観測できる質量はニュートン力学的な(あるべき)質量と大きく異なることが知られている。

観測結果を説明するために様々な理論が提唱されているが、この研究は以前否定されていたMOND(下図)の復活を示している。新しい研究では、以前の研究のように矮星周辺の重力環境の影響が影響する可能性があるとは考えない。言い換えれば、矮小銀河が巨大銀河の近くにあった場合、矮星内部の動きはより遅くなると説明する。

 

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Credit: Nature

 

一般相対性理論による解釈で銀河の周りに存在するとされていた暗黒物質が、何十年もの高感度な探索にもかかわらず、暗黒物質粒子は発見されていない。一方、MONDでは光学的の観測できる星とガスだけを使って銀河の回転速度に関する膨大なデータを説明できる。

MONDは35年前に書かれた方程式に基づいているが、今回の研究によって妥当性が復活したことになる。理論は実験に合わないと否定される。しかし観測結果を再現しようとするときには、様々な仮定や条件を加える。つまり任意性が持ち込まれる。

それらの条件を吟味することで正しい結果を与え、復活することもあることを示す好例と言える。実験屋はどんなに理論計算が正確にデータを再現する場合でも、理論を信用していない。なぜなら実験データに誤差を避けることはできないことを知っているからである。

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