生物起源の蒸気で生成する荷電粒子クラスタ〜CERNのCLOUD実験

過去数世紀にわたり気候がどのように変化し、将来発展するかを理解するためには、それらに対する人間の活動の影響の正確な評価を含む、すべての気候システムの詳細な知識が必要になる。

 

ヒトの活動とエアロゾル粒子の影響

大気中のエアロゾル粒子の存在は、太陽放射との相互作用に加えて、雲滴の形成のための種としても働き、気候に影響を及ぼすことが知られている。ガス状前駆体からのクラスター粒子の形成およびその後の成長は、粒子の主要な供給源であるが、関与するメカニズムはよくわかっていない。

2014年に、CERNのCLOUD(Cosmics Leaving Outdoor Droplets)(注1)実験で樹木、生物起源の蒸気が(荷電)粒子を形成する能力が実験的に証明された。その結果、硫酸の濃度が低い古代には、粒子クラスタ形成を支配していた可能性を示唆している(Rose et al., Science Advances 4, eaar5218, 2018)。

(注1)CERNのプロトンシンクロトロンを拠点として宇宙線が雲形成にどのように関わっているかを調べるプロジェクト。下の写真はCLOUDの雲観測チェンバー。

 

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Credit: CLOUD@CERN>

木からのエアロゾル形成

CERNの研究の目的は、大気中の生物起源の蒸気から荷電クラスター形成の発生を調べることであった。そのために、フィンランドのSMEAR IIステーションで収集されたデータを分析し、クラスター粒子のサイズおよび濃度ならびにそれらの化学組成に関する情報を分析した。

CLOUDチャンバー実験の条件に似た条件で発生する、夜間のクラスター形成について調べた。帯電したクラスター形成の初期段階に、生物起源の蒸気が強い影響を与えていることがわかった。

具体的には、寒冷地の森林で放出される主要な生物起源の、オゾンによってモノテルペンが酸化された蒸気が、6ナノメートルまでのクラスターを形成し成長させる。このようなクラスター形成経路が世界規模でどのような影響を及ぼすかを評価するには複数の場所での観察が必要になる。

 

CLOUD実験が明らかにした雲形成のメカニズム

電荷を持ったエアロゾル粒子が成長して大気中の微弱な電流で空間電荷領域を形成。粒子はさらに成長して直径50nmを超えやがて雲形成の核になる(下図)。

 

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Credit: Carslaw, K.S., Harrison, R.G., & Kirkby, J. Cosmic rays, clouds, and climate. Science 298, 1732–
1737 (2002).

 

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