MHz帯域高速光電子分光

高速光電子分光法ではレーザーを使用して、高エネルギーの光子を固体表面(ここでは電子回路)に照射し光電子を電子検出器で観測する。フラウンホーファー研究所の研究チームは、MHz帯域で動作する新しい電子分光システムを開発した。

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トランジェントTHz分光でみた水溶液の水素結合ダイナミクス

水は地球上で生命維持に不可欠な舞台であるが、その物理的性質は完全に理解されたとは言えない。最近、チューリッヒ大学の研究チームは、溶液中の水素結合ダイナミクスの研究にトランジェントTHz分光法を活用した。

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高速・高感度グラフェンボロメーターのが開発される

ボロメータの原理は放射エネルギー吸収の加熱による熱的計測技術の一つで、多くの応用がある。しかし、これまでのボロメーターは帯域幅が限られており、超低温で動作させるなど実用上の制限が多かった。MITの研究チームは、室温で計測できる超高速かつ高感度の新形ボロメーターを開発した(Efetov et al., Nature Nanotechnology online June 11, 2018)。

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新しいニュートロンフラックスの絶対測定法

米国の国立標準技術研究所(NIST)の研究チームは、中性子束の絶対数を他の方法よりも50倍正確な新しい絶対測定法を開発した(Yue et al., Metrologia online May 4, 2018)。

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室温で動作するCsPbBr3高エネルギー分解能γ線検出器

ノースウエスタン大学とアルゴンヌ国立研究所の研究チームは核反応観測用の次世代γ線検出器に低コストの材料を開発している。特に様々な核種のバックグランドに埋没した微弱なγ線を分離して核種を特定する検出器に使える決勝材料を探索した。

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グラフェン「折り紙」でつくるチューナブルIRフイルター

グラフェンの応用は驚異的と言える多岐にわたるが多くは2D導電性を利用したデバイスであった。イリノイ大学の研究チームはグラフェンを「折りたたんで」機械的に変形させることで、チューナブルIRフイルターに利用できることを発見した("Mechanically Reconfigurable Architectured Graphene for Tunable Plasmonic Resonances" in Light: Science & Applications)。

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テラヘルツ帯表面光整流で大面積エミッタが可能に

空港での手荷物検査と金属探知機は旅行者全員が対象であるが、任意抽出されればX線透視が待っている。しかし妊婦など被爆を受けたくない人も多く、X線に代わる透視技術の必要性が高まっている。

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生化学手法でみたニュートリノレス2重β崩壊

β-崩壊では原子核内の中性子が陽子に変わり電子と反電子ニュートリノを放出する。β崩壊Se76はGe76よりエネルギーが大きいため不安定で2重β崩壊が生じる。これは原子核内の2個の中性子がほぼ同時に陽子になるβ崩壊のひとつだが、原子核内の中性子2つが陽子2つに変わり、電子と反電子ニュートリノが2つずつ放出される。

2重β崩壊では2つの陽子が2つの中性子になり、2つの電子ニュートリノを放出して2つの軌道電子を吸収する場合もあるが、ニュートリノを放出しないニュートリノレス2重β崩壊も予測されている。もし発見されればニュートリノがマヨラナ粒子であることができるとして注目されてきた。

 

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Credit: wwwkm.phys.sci.osaka-u

 

ニュートリノレス2重β崩壊

テキサス大学オースチン校を含むNEXTコラボレーションの研究チームは、ニュートリノの詳細や反物質アンバランスの謎に迫る研究を進めている。ニュートリノがマヨラナ粒子であれば反ニュートリノとニュートリノは同じ粒子となる。この仮定が証明されれば反物質アンバランスが説明できることになる。

 

研究チームはニュートリノレス2重β崩壊検証実験にイオンの蛍光を観察する生化学的手法を活用する計画である(McDonald et al., Phys. Rev. Lett. 120, 132504, 2018)。

ニュートリノと反ニュートリノが同一粒子であれば、2つの反ニュートリノは打ち消し合い、ニュートリノレス2重β崩壊が観測されることになる。この現象の観測確率は極めて低くXeが崩壊してBaになる過程で1年に1度程度の頻度になるため実験が難しいが、もし起きればBaイオンと2個の電子が同時に発生する。

 

TPCが挑む反物質アンバランスの謎

研究チームはXe中のBaイオンと2電子を観測する新しい検出装置(下図)を提案している。それがXe Time Projection Chamber(TPC)である。TPCは日本でもKEKに置いて開発が進められており、ヒッグスボソンの発見以後の素粒子物理の進展が期待されている。

 

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Credit: inspirehep

 

原理となる蛍光観測技術は脳内のニューロンからニューロンへのCaイオン移動の際の螢光放出現象のマルチ検出と同じである。CaイオンとBaイオンの相似性を考えればこれは自然な発想であった。研究チームは蛍光物質FLUO-3がBaイオンにも適用できることがわかり、ニュートリノレス2重β崩壊の観測に使えることが明らかになった。

 

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Credit: inspirehep

上図はCCDで観測されたBaイオンによる明るい表面付近と暗い深部の螢光分子を示す。加速器の大型化が限界に近づく中でテーブルトップの計測システムでニュートリノレス2重β崩壊が観測可能の時代となったことは興味深い。

 

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