ガンマカメラ−核医学から放射能汚染モニタまで

 病院に行くと「放射線科」がありそこで働く医師を放射線科医と呼ぶ。学会としては放射線医学会がある。放射線源として加速器、X線発生装置、アイソトープなどがあるが、核医学はアイソトープを用いて病気の診断をする医学で、アイソトープを投与した患者の臓器を調べるためにガンマカメラやSPECTを用いる。核医学会は放射線医学会とは独立している。下の写真がガンマカメラで、箱のようにみえているのがPMTアレイでこれを回転して計測すればSPECTになる。

 

Nuclear Medicine

 

 核医学で使用されるラジオアイソトープの半減期とエネルギーを以下に示す。

 


 

元素    半減期    エネルギー
67Ga       3.261days        93 keV(0.392)、185 keV(0.212)、300 kerV(0.168)
99mTc     6.0hrs             141 keV(0.891)
111In      2.805days        171keV (0.900)、245 keV(0.940)
123I        13.27hrs          159 keV (0.833)
131I        8.021days        364 keV (0.817)
133Xe      5.242days       81 keV(0.380)
201Tl       72.91hrs         70 keV, 135 keV(0.026)、167 keV(0.100)

 


                                         

  核医学検査とは病院によってはRI検査やアイソトープ検査と呼ばれる場合もある。原理は体内にごく微量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ)で置換した薬剤を投与し、特定の臓器に集まる性質を利用してガンマカメラで臓器の位置、大きさおよび機能を観察する。

 アイソトープ置換薬剤は半減期が異なる(上の表参照)ので、一定時間後に検査開始となる。核医学検査の被曝量は0.2-8mSvで自然放射能2.4mSvと同程度で副作用も少ない。例えば下のガリウムシンチグラフイに使う67Gaはクエン酸ガリウム(74-111MBq)が用いられる。検査時間は30分から1時間である。

 検査の種類は骨、心筋、脳血流、肺、肝機能。腎臓、甲状腺を対象とするものに分けられるが、悪性腫瘍(癌)が疑われているが、高熱が続き炎症部位が特定できない場合には、全身を対象する67Gaを使うガリウムシンチグラフイーを行なう。

 

collimator

 

 

 ガンマカメラは放射線を用いる医療計測の分野では歴史が古い。ガンマカメラの原理はガンマ線の2D計測であるがその仕組みは複雑である。コリメーターの後ろに置かれたNaIシンチレーターの背面に多数のPMTを配置しエネルギー (E)信号と位置情報(x,y)を測定し、一定時間の積分後に2D画像として出力する。なお計測系が2D検出器でない場合は数十本のPMTに散らばった1 個のガンマ線の出力に重みをつけて、場所を推定する複雑なアルゴリズムが必要になるが、仮想的な座標の分解能(例えば256x256)は実際に並べられた PMTの幾何学的分解能よりも高い。

 

SPECTとの違い
ガンマカメラは2D計測であるが検出器面を回転して複数角度のデータからトモグラフイ画像を構築する手法がSPECTである。このため現在のガンマカメラは回転してSPECTを測定できるものが多い。

 

病院を飛び出したガンマカメラ

 放射線の2D計数結果と、カメラで撮影した映像を重ね合わせ、放射線量の高低を色分けして表示することで、目視で線量を確認できるようにしたガンマカメラが原発で活躍している。また人体以外にも放射線の分布を可視化できるため、原子炉をはじめ工業的に広く応用されている。

 福島原発の放射性汚染物質は特定の場所(ホットスポット)に集中して分布する。携帯型ガンマカメラを用いれば風景画像に放射線の強い部分を色付けして可視化できる。低分解能の簡易型も開発され汚染地域で活躍している。また上空からセシウムを可視化する散乱エネルギー認識型ガンマカメラも開発され、山林等の広い場所のセシウム分布を調べられるようになった。

 ガンマ線強度分布の測定にはバックグラウンドが妨害となる場合が多いが、300mSv/hの高線量環境下でも使用可能なガンマカメラも最近では開発され、原子炉内や汚染源に近い場所でも測定が可能になっている。

 

 

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