共有結合非晶質物質の普遍的な局所秩序〜「第一ピーク」の起源が明らかに

原子構造に規則的な繰り返しパターンのない無秩序構造を有する材料は、非晶質として分類される。そのような材料は天然に見出すことができ、また様々な用途で広く利用されている。それらの基本的な研究手法は散乱実験による動径分布関数(RDF)とモデル計算の比較で、特殊な場合には同位体中性子散乱で部分動径関数が得られる。一方、近距離構造についてはEXAFSから得られる局所構造が構造決定に大きな役割を持つようになった。非晶質の共有結合物質の散乱曲線(S(k)カーブ)にはlow-k領域に第一ピークと呼ばれる大きなピークを持つ。第一ピークが構造を反映していることは、経験的に解釈されてきたが、その原子構造との対応は明らかになっていなかった。

 

東京大学の研究チームは、四面体ガラスとして知られる特定の種類の液体および非晶質材料の構造が普遍的な局所構造を持つことを見出した(Shi and Tanaka, Science Advances 5, eaav3194, 2019)。

液体および非晶質材料によって生成されたX線や中性子を散乱パターンは、幅広いピークを示す。しかしながら、シリカおよびシリコンのような、ネットワークを形成する液体および非晶質材料は、いわゆる「第一ピーク」と呼ばれる特徴を示す。

 

第一ピークの解釈〜4面体構造

これまで第一ピークを原子構造に基づくとして、多くの理論が発表されたが、まだ統一見解に至っていない。今回、研究チームは、第一ピークが液体中の原子の局所的な秩序の四面体性の結果であることを実証した(下図)。

 

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Credit: Science Advances

 

液体中の結合の共有結合的性質は局所的な秩序化をもたらすが、その範囲は長距離には及ばない(中距離秩序)。研究チームは材料中に形成される四面体単位構造に焦点を合わせ、一連の実験結果を裏付けることができる普遍的モデルを確立した。

研究者らは、液体または非晶質状態の多数の酸化物、ハロゲン化物、カルコゲナイド、および単原子物質についてのシミュレーションおよび実験データを使用して彼らの四面体モデルをテストした。調査結果は他のより高い波数のピークおよび特徴と同様、第一ピークの起源を説明することができた(下図)。

 

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Credit: Science Advances

 

今回の発見が四面体型の液体やガラスの性質の理解を深め、その結果として地球科学や半導体材料などの分野に影響を与えると期待されている。考えてみれば共有結合が維持される限り4配位の頑丈なフレームである4面体構造が維持されるというのは、自然な結果だと思われる。

 

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