コヒーレンス光学トモグラフイーOCTが中赤外で可能に

光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は、生体内器官の検査に臨床診断において使用されている光学的CT技術で、その原理は光干渉法に基づいている。検査対象から反射された光は、参照光と重ねられてできる干渉パターンで2Dおよび3DOCT画像を形成する(下図)。

 

OCTの原理

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Credit: hzdr.de

 

中赤外OCTの開発

可視光の侵入距離の制限を緩和するためには長い波長の光が使用できる。最近の研究で、デンマーク工科大学の研究チームは、OCTイメージングの技術的課題を克服する新しい方法を開発した(Israelsen et al., Light: Science & Applications 8, 11, 2019)。

この研究では、近赤外光の下では見えない微視的構造を明らかにするために、中赤外光を用いて画像を得た。このため、チームは高解像度でのリアルタイム画像取得のために実験的に広帯域スーパーコンティニューム光(注1)と周波数変換技術を組み合わせた。

(注1)超短パルス光を非線形光学材料に入射して、自己位相変調、相互位相変調、四光波混合、ラマン散乱等の非線形光学効果によって生成される連続で広帯域なレーザー光。

 

より長い波長を使用することによってOCTのプローブビームの侵入深さを改善する可能性は、1990年代から行われていたが、中赤外OCTの開発は、この波長領域の光学部品の製作が困難であるために遅れていた。

研究チームは、中心波長4ミクロン(µm)で動作する中赤外スペクトルドメインOCTシステムを使用して、軸方向分解能8.6μmを実現しました。中赤外システムで生成された画像は、1.3 µmで動作する最先端の超高解像度近赤外OCTシステムと比較し、3D構造の精度が評価された。OCTは、眼科学における応用に威力を発揮したが、バイオフォトニクスおよび臨床生物医学的イメージングに最適な手法となる。

 

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Credit: Light: Science & Applications 8, 11, 2019

 

研究チームはフッ化バリウム(BaF2)レンズを使用してサンプル上に生成されたビームを集束し、CT画像は電動並進ステージ上でサンプルを移動させて取得した。鍵となる周波数変換モジュールは、パラメトリックチューニングなしで、中赤外領域(3576〜4625 nm)の1 µmを超える広帯域幅を近赤外(820〜865 nm)の狭帯域に変換できる。

より複雑で不均一な構造の3Dイメージングの評価に、標準クレジットカードに埋め込まれたEMVチップおよび近距離通信アンテナをイメージングした。クレジットカードは通常、さまざまな染料や添加剤を混合したいくつかのラミネートポリマー層から作られている。 4 µmのOCT設定を使用して、科学者らは近赤外領域での高い散乱特性のために1.3 µmのOCTシステムでは透過できない3層の高散乱ポリマーを特定した(下図)。

 

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Credit:  Light: Science & Applications 8, 11, 2019

 

この研究によって中赤外OCT技術で複雑な電子回路を含む固体対象の実時間CT計測が実用できる見通しが得られた。

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