グラフェンベースの高性能THz検出器

THz帯波は、高速Wi-Fiや医療イメージング、電波望遠鏡など多岐にわたる応用が期待されている。しかしこれまでのTHz検出器は、電力消費が大きかったり、または低温が必要で実用性が乏しかった。ロシアの研究チームはこれらの問題を解決したグラフェンベースのテラヘルツ帯検出器を開発した(Bandrin et al., Nature Comm. 9: 5392, 2018)。

 

既存のテラヘルツ検出器が非効率的である理由は、検出素子のサイズ、トランジスタとテラヘルツ放射の典型的な波長との間の整合性が悪い(約100倍のスケール差)。これにより、THz波は検出器を通過しても干渉することなく透過してしまう。

1996年には、この問題に対処するために、入射波のエネルギーを検出器のサイズに匹敵する体積に圧縮するアイデアが提案された。表面プラズモンを利用すれば良いというものである。それらは伝導電子の電磁場下の集団運動を利用すれば、理論的には検出器の効率は共鳴条件でさらに高められる(下図)。

 

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Credit: mipt.ru

 

検出器のレイアウト二層グラフェン(BLG)のトランジスタチャネルが、六方晶窒化ホウ素(hBN)の2つの結晶の間に挟まれている。この構造は酸化されたシリコン基板(灰色で表示)の上に置かれる(上図)。

 

プラズモン共鳴検出器

ほとんどの半導体材料では、プラズモンは不純物との電子衝突のために急速に減衰して消滅することが問題であった。研究チームは、窒化ホウ素の結晶の間に挿入され、テラヘルツアンテナに結合された二層グラフェンで作られた光検出器を作成した。このサンドイッチ構造では、不純物がグラフェンの外側に放出され、プラズモンが自由に伝播することが可能になる。金属リードで閉じ込められたグラフェンシートはプラズモン共振器を形成するグラフェンの二層構造で広範囲な共鳴条件の制御が可能になった(下図)。

 

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Credit: Nature Comm.

 

開発された共振周波数が電圧調整によって制御される数ミクロンのTHz検出器はテラヘルツ領域で動作する高感度検出器(分光器)として機能するため、THz帯の応用機器に一般的な検出器となることが期待されている。

 

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Credit: Nature Comm.

 

上図は2プラズモンアシストTHz光検出。(a)f = 130 GHz、異なる温度で測定された応答特性。オレンジ色の長方形は、pドープグラフェンチャネルとコンタクト付近のnドープ領域の間のpn接合部での入射放射の整流から生じるオフセット。 上のインセット:温度 TにおけるVgの関数としてのFET係数F。下のインセット:Tの関数としての最大Ra。(b)応答性のゲート依存性。

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