ポジトロニウムの2光子2電子高励起共鳴状態(D-wave)
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- カテゴリ: 放射線計測
- 作成日:2018年11月15日(木)09:31
- 投稿者: Hiroyuki
陽電子は、電子と同じ質量を持ち、正電荷の反物質(反粒子)である。陽電子は身近な反物質(反粒子)で、代謝障害の診断に有用な医療イメージング法である陽電子放射断層撮影(PET)は医学応用で大病院には必ず備えられている。
ポジトロニウムイオン
陽電子は電子と対を形成し擬似的原子ポジトロニウム(Ps)や、ポジトロニウムイオン(Ps-)と呼ばれる負電荷イオンとしても存在する。Ps-は陽電子に結合した2つの電子からなる3粒子系である(下図)。
Credit: med.physik.uni-muenchen.de
2光子2電子高励起共鳴状態(D-wave)
現在市販されているレーザーは、Ps-のような負に帯電したイオンの電子を二重励起状態にするのに十分なエネルギーを有する。しかし、陽電子イオンは不安定であり、分析する前に消滅することが多い。
中国のハルビン工科大学の研究チームは、3つの粒子系で共鳴準位(下図)を調べ、簡単な方程式を使った理論モデルで3粒子システムを記述できることを示した(Kar and Ho, Euro. Phys. J. D 72:193, 2018)
。この方法は原子物理学、核物理学、半導体量子ドット、ならびに反物質物理学および宇宙論の問題に適応することができる。
Credit: researchgate
研究チームは、2電子と1陽電子からなる3粒子系モデルを負に荷電した水素イオン(H-)に適用して、精度を評価した上で、陽電子イオン(Ps-)高エネルギー領域の共鳴状態を計算し全部で7個の共鳴モードを見出した(下図)。
Credit: researchgate
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