グラフェン-導電性高分子ハイブリッド超高感度光検出器

ブルックヘブン国立研究所の研究チームは、導電性自己組織化ナノ構造を介してグラフェンの光応答を劇的に改善した。これによって医療イメージング、放射線検出などの微弱な光を迅速に検出できるグラフェンベースの検出器へ応用が期待される。

 

グラフェン独特の機械的、光学的、および電子的性質は、単原子層で、機械的強度に優れ、ほぼすべての波長の光を検出し、熱と電気の良導体であることに代表される。しかしグラフェンは単原子層であるがゆえに、非常に少量の光(約2%)しか吸収することができない。これは光検出材料として感度が低いという致命的欠点でもある。

この問題を克服するアプローチは、グラフェンと、導電性有機化合物などの強い光吸収材料とを組み合わせることである。研究チームは、グラフェン単層の上に、導電性高分子、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、またはP3HTの薄膜(数10nm)を配置することによって、光応答性が改善されることを実証した(Li et al., ACS Photonics online Oct. 12, 2018)。

 

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Credit: ACS Photonics

 

導電性高分子の形態(構造)を変えることによって、光応答をさらに600%改善できることがわかた。研究チームは薄膜の代わりに、ナノワイヤのメッシュを使用した。ナノワイヤメッシュ作成は非常に簡単で再現性のある自己組織化法を用いた。溶液に入れて一晩撹拌すると、高分子はワイヤー状のナノ構造になり、得られたナノワイヤをグラフェン電界効果トランジスタ(FET)にスピンコートした。

グラフェンのみ、グラフェンとP3HT薄膜、グラフェンとP3HTナノワイヤで作られたFETを作成し、原子間力顕微鏡法、ラマン分光法、およびX線散乱法を用いてFETデバイスの厚さおよび結晶構造を確認した試料の光誘起電気特性(光応答性)を測定した。様々な光照射パワー下でFETを流れる電流を測定したところ、ナノワイヤFETは、薄膜FETと比較して光応答を600%、グラフェンのみのFETに比べて3000%改善されることがわかった。

 

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Credit: ACS Photonics

 

特定の高分子濃度では、ナノワイヤが光の波長に匹敵する寸法になるため、光の散乱と吸収を増加させる効果がある。また、ナノワイヤ内のP3HT分子の結晶化は、より多くの電荷担体を提供して、グラフェン層に電気を移動させることが光応答の劇的な向上をもたらした。

高分子鎖と結晶がほとんどランダムに配向している従来の薄膜と異なり、ナノワイヤーではポリマー鎖と結晶を特定の配向させ、光吸収と電荷移動の両方が増強されると考えられている。

なおこれより先にグラフェン-ペロブスカイトハイブリッド光検出器による超高感度光検出器に関する論文がある(下図)。可視領域(450-700nm)での感度1.73 × 107 AW−1は驚異的な感度で、これらの超高感度光検出器によって、イメージング応用は新しい時代に入るだろう。

 

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Credit: Nature

CTの検出感度が400倍になるペロブスカイト高感度X線検出器とともに、医療イメージングがより身近な存在になると期待されている。

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