BESSYII放射光を用いたナノダイアモンド光触媒の研究

光触媒の候補としてダイヤモンドナノ結晶材料が注目されている。例えば表面積が大きいナノ構造カーボンフォームや炭素原子のナノ結晶があるが、触媒活性には自由電子を得るのに十分な励起エネルギーを持つUV光励起を必要とする。光励起後、溶媒和された電子が水中に放出され、溶解したCO2と反応してメタノールを形成する。

 

太陽スペクトルのUV成分は多くないので、可視スペクトルも利用できる光触媒が理想的である。ドイツ研究センターヘルムホルツ協会の研究チームはこのような材料に、三価元素であるホウ素などのヘテロ原子をドーピングすることによって、中間状態をバンドギャップ中につくりだせることを見出した(Choudhury et al., J. Mater. Chem. A online Aug. 9, 2018)。

下図はH末端およびパンデイ鎖再構成されたダイヤモンド(111)表面のスーパーセル、吸着B原子をB-ads、1、2または3原子層をB1,B,B3で示してある。灰色、白、ピンク色C、H、Bで表示される。 

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ダイアモンドのバンドギャップエンジニアリング

研究チームは多結晶ダイヤモンド、ダイヤモンドフォーム、ナノダイヤモンドをBESSY II放射光を光源としたX線吸収分光法を用いて、非占有エネルギー状態を調べた。その結果、研究チームはナノダイヤモンドの表面近くにドープされたホウ素原子は実際にバンドギャップ内中間準位を形成することをみいだした。新しい中間準位は価電子帯に非常に近く、可視光の効率的な利用を可能になる。

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Credit: J. Mater. Chem. A

 

BESSYIIのLiXedromエンドステーション

上図は価電子バンドと非占有バンドの状態密度を合成したものである。前者は光電子分光、後者はTEYモードのX線吸収分光によるもので、BESSYIIのU49/2-PGM1アンジュレータービームラインのLiXedromエンドステーション(下図)で測定された。このステーションでは光電子分光、X線吸収分光のほかRIXSの測定やジェット分光が可能である。

 

lixedrom 6

 

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Credit: BESSYII

 

研究チームによれば、モルフォロジーとドーピングを最適化することで、ダイヤモンドバンドギャップエンジニアリングが可能になるとしている。リンまたは窒素によるドーピングで高エネルギー効率光触媒が得られる可能性がある。

 

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