エボラウイルスのサブ原子スケールRNA複合体構造決定

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、エボラウイルスの中心的構成要素の構造を、原子レベルでの分解能で初めて画像化した。

 

研究チームは、ウイルスの遺伝物質のための支持構造として作用する蛋白質の複合体であるヌクレオキャプシド(NC)と呼ばれるウイルスの一部に焦点を当てた。この構造はウイルスはその標的を壊滅的な形で複製することができる。研究チームはNCの核を構成する核タンパク質-RNA複合体を高純度で単離し、低温電子顕微鏡(クライオEM)で分析して、構造モデルを構築することに成功した。(Sugita et al., Nature online Oct. 17, 2018

これまでの研究では、NC構造の最小の部分しかわかっていなかったが、今回の結果で全体を見ることができ、抗ウイルス薬の標的を見つけるのに役立つと期待されている。

 

完全なエボラウイルスは、目に見えない小さな糸状構造であり、数千倍に拡大した場合、短い毛髪のように見える。そのフィラメントの内部には機能するウイルスを構成するNCおよびマトリックス蛋白質があり、両方とも表面糖タンパク質およびウイルスエンベロープによって包まれている。

構造解析に使われたNP-RNA複合体は非感染性細胞で、実際のウイルスRNA配列が生成されないため、感染リスクがない。OISTチームによって作成されたクライオEM再構成に基づくエボラウイルスヌクレオカプシド核の3Dレンダリングを以下に示す。

 

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Credit: Yukihiko Sugita

 

これまでの研究では、電子トモグラフィーと呼ばれる手法を用いてNC構造を解析したが、OISTチームによって作成されたクライオEM再構成は、個々のRNAヌクレオチドとアミノ酸側鎖を分解することにより、サブ原子レベルの分解能(3.6Å)でNC構造がどのように見えるかが初めて示された。以下はクライオEMの測定方法概念図。

 

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Credit: siencedirect

 

蛋白質複合体は非常に壊れやすいため完全なサンプルを得ることは非常に手間がかかった。研究チームはデジタルモデルとしてNCを再構築するのに18ヶ月以上かかった。クライオEM画像から生成された3次元モデルは、将来の作業のための正確な基礎を提供する。研究者は、エボラウイルスNCの構造全体を正確に標的とした研究を行うことができるようになり、これはウイルスを倒す薬剤開発につながると期待されている。

 

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