STEM電子ビームによる原子操作〜アトムテクノロジー

原子を薄く削り取るという最新のナノテクノロジーは、物理学者リチャード・ファインマンの原子操作概念の実現の可能とするかもしれない。

 

原子ベースの量子的性質を利用する電子機器およびセンサを構築するための重要なステップは、原子位置の正確な制御である。オークリッジ国立研究所の電子顕微鏡研究チームナノスケールのデバイスを原子ベースで製作する精度を得ることに成功した(Dyck et al., Small online Aug. 26, 2018)。

研究チームは、グラフェンの1原子層の厚さのシートにシリコン原子を導入するために、走査透過電子顕微鏡(STEM)を使用した。電子ビームが材料を走査するにつれて、そのエネルギーはグラフェンの分子構造をわずかに破壊し、近くのシリコン原子が炭素原子で場所を入れ替えるスペースを作り出す。

 

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Credit: Small

 

このプロセスを使用して、研究チームはさらに、2、3、4個のシリコン原子を集めてクラスタを構築し、グラフェン層内で回転させることができた。2次元の炭素原子の層で、これまでにない強度と高い電気伝導度を有するグラフェンは、60キロボルトの電子ビームに対して安定である。

 

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Credit: Small

 

ナノサイエンスとナノテクノロジーの分野は近年爆発的な成長を遂げた。 ファインマン先生の1959年の有名な講演で提案された原子操作理論は有名なIBMのドナルド・アイグラー氏の走査トンネル顕微鏡の研究によって実証された。

これまでアイグラーの方法は、原子を1つずつ操作する唯一の技術であったが、研究チームは約4年前から電子ビームで研究を開始した。

研究チームは、次にグラフェン構造にリンなどの他の原子を導入しようと試みる予定であるが、最終目標はリンがドープされたグラフェンからキュビットを構築することである。道のりは長いがSTEMで蓄積された技術をSTEMに組み込めればそのための大きな飛躍となることが期待されている。

ファンデアワールス力だけを考慮すればよかったグラフェンにヘテロ原子(電荷)を持ち込むと、クーロン力が加わり局所構造が歪むので、途端に難しくなる。電荷の導入(化学的ドーピング)が可能になって初めて、原子操作が確立されたといえるだろう。

 

 

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