ファイバーオプテイクス電子銃による超高速イメージング

物質科学における究極的な実験のひとつは、構造変化の間の原子の動きを直接観察する試みであった。動的構造情報は、遷移状態を経て生じる化学的プロセスの可視化を可能とし、化学の全分野に共通するいわば究極の物質構造情報といえるかもしれない。

 

動的構造は究極の情報

動的構造情報は状態間の遷移において、膨大な数の可能性の中から選択されるのかを知る手がかりを与える。

マックス・プランク研究所の研究チームは超高輝度の電子を利用して原子運動が起こる時間スケールでの構造情報を得る手法を開発した(Lee et al., Appl. Phys. Lett. 113, 133502, 2018)。

研究チームはすでに高エネルギー(100キロボルト)の電子バンチを使って、バルク薄膜の相転移の最初の原子の動きを可視化することに成功していたが、今度は新たに材料の最初の数単層内で起こる表面反応に応用し、表面触媒のメカニズムの研究に応用した。

このため研究チームは、小型化のために光ファイバーを使用する低エネルギー(1〜2キロボルト)の時間分解電子回折手法を考案し、電子パルスをストレッチして、ストリークカメラ技術を適用しサブピコ秒の時間分解能を得ることに成功した。

 

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Credit: Appl. Phys. Lett.

 

開発した「原子ムービー」では、レーザー励起パルスが構造変化をトリガーするフレームごとに、ストロボスコープの原理でタイミング測定が用いられた。この方法は繰り返し測定が必要で単発の現象には無かない。ストリークカメラは電子パルスによって定義される計測ウィンドウ内で、ワンショットの「原子ムービー」が得られる。

 

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Credit: Appl. Phys. Lett.

 

研究チームが開発した低エネルギー光ファイバベースの電子銃は 200個の電子からなる数十ピコ秒の長い電子バンチの時間的プロファイルが、ストリークカメラで計測される。静電アインツェルレンズシステム(注1)をファイバベースのカソードに組み合わせ、RMSスポットサイズ98μmの電子ビームの空間集束と、電子運動エネルギーにおける単層グラフェンの静電低エネルギー電子回折パターンのイメージングが 1.0~2.0keVのエネルギー範囲で得られた。

(注1)入射点と出射点で同じ電位を持つ静電レンズ、3枚の電極から構成され加速あるいは減速に用いる。

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