ナノ粒子のストークスシフトによる高感度光子検出器

素粒子物理学において光子検出器は衝突実験や宇宙線の高エネルギー粒子の計測に不可欠である。質量が非常に小さい中性の基本粒子、ゴーストニュートリノのような粒子の相互作用で生成される微弱な光信号は、液状の希ガスとシンチレーション検出器で計測する。こうした微弱な光信号は紫外(UV)領域にあることが多いが、粒子物理学実験用のほとんどの従来の光検出器システムは、可視領域の感度が高い。

 

アルゴンヌ国立研究所の研究チームは、大量の液体アルゴン検出システムのように、UV光が生成される実験環境において光センサをより良く機能させるために、ナノテクノロジーを活用する研究を行なっている。

研究チームは光センサーをUV放射線により敏感にするために、従来の光検出器にナノ粒子のコーティングを施した。増強された光センサは、コーティングのない光検出器よりも著しく高いUV光に対する感度を示した(Sahi et al., Sci. Reports 8, 10512, 2018)。

 

ナノ粒子のストークスシフト

ナノ粒子が増幅する理由は、そのサイズと関係があり、より小さなナノ粒子は、より短い波長の光子を吸収することができる。このためより長い波長の光子として低エネルギーで再放出される"ストークスシフト"でUV光子を可視光子に変換することが基本原理である。

 

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Credit: semanticscholar

 

ナノ粒子を透明なガラスシンチレーターに混合することで、微弱な可視光の量を増やすことができるため、ニュートリノ振動などの現象を高感度に計測できる。300-40nmの波長範囲の波長をシフトすることによって、その光が計測できるようになれば、高エネルギー物理の実験の精度が向上するものと期待されている。

 

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Credit: Sci. Reports

 

ナノ粒子の粒径を選べば、量子閉じ込めでバンドエネルギーが制御でき流ため、物質とサイズ選択で長波長シフターが最適化できる。

 

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