電子顕微鏡によるナノスケール液体の高分解能可視化

シカゴのイリノイ大学研究チームが開発した新しい顕微鏡技術で、従来の透過型電子顕微鏡よりも約10倍高分解能で、ナノスケールの液体を視観察が可能になった。

 

研究チームは窒化ホウ素の2つの二次元層の間に微量の液体を挟み、透過型電子顕微鏡および分光技術を用いて、極めて高い分解能で液体を画像化した。またこの方法で個々の分子の振動状態に関する情報が得られる。

新しい技術は、生物学的研究で使用されるナノスケールのトレーサを追跡し、これまで実現できなかった解像度で液体 - 固体界面でプロセスを視覚化する。研究チームは水と重水の固有への適用例を報告している(Jokisaari et al., Advanced Materials, 2018)。

 

水は一見よく分かっている液体と考えられているが、ナノスケールで見るとその挙動は不明な点が多い。エネルギー科学、触媒、化学、生物学の分野では、ナノスケールの相互作用を可視化する必要性が高まっている。

特殊なセルを使用することで、水の振動挙動を観察し、窒化ホウ素層内に閉じ込められた非常に微量の水分のナノスケールの挙動を調べることができる

 

透過型電子顕微鏡では、液体試料は凍結されなければならず、エポキシで包まれた後、電子ビームの下に置かれる前に極薄にスライスされる。それでも数秒で試料が蒸発してしまう。

2次元の材料は単原子層のため、電子ビームはほとんど影響を与えないが、顕微鏡の真空内部に液体を保持するのに十分な強度を提供する。

 

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Credit: Advanced Materials

 

いくつかの二次元材料を試験した後、研究チームは最終的に窒化ホウ素のナノ層が最適であることがわかった。この材料は水分子を含有することができ、振動する水分子によって生成された赤外線放射に対して透明である。

研究チームは顕微鏡で約350ミリeVのエネルギー分解能を得ることができたが、水の振動特性を測定するためにはより良い分解能が必要であった。研究チームは、オークリッジ国立研究所にある世界最高のエネルギー分解能を持つ顕微鏡を用いて、実験に成功した。

通常の水は420ミリeVで振動するが、セルに閉じ込められた水は406ミリeVで振動することが分かった。また研究チームは重水についても世界最高分解能で視覚化することに成功した。

 

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