新しいニュートロンフラックスの絶対測定法

米国の国立標準技術研究所(NIST)の研究チームは、中性子束の絶対数を他の方法よりも50倍正確な新しい絶対測定法を開発した(Yue et al., Metrologia online May 4, 2018)。

 

新しい方法では、NISTの持つアルファ - ガンマ装置を利用して、0.058%の測定誤差でビーム中の中性子数を計測できる。単位時間あたりのビーム中の中性子数を決定することは、原子力から医療(中性子治療)にわたる多くの応用で重要な技術である。

特に、米国の標準規格の中性子源であるNBS-1で較正し、中性子の寿命を測定することが要求される。中性子束を測定するには、ビームをターゲットに向け、中性子がターゲット内の原子と相互作用するときに放出される生成物の数と種類を計数することになる。

典型的な生成物は、放射性崩壊の3つの主生成物のうちの2つであるアルファ粒子およびガンマ線である。アルファ粒子には2つの陽子と2つの中性子が含まれる。基本的にはヘリウム原子(ヘリウム核)とγ線を計測する。

 

しかし、放出量の計測では不十分で、中性子が特定のターゲット内の原子核に打ち込まれる確率を知ることも必要になる。 断面積は、各元素および異なる中性子エネルギーについて異なる値であるので厄介である。断面積は実験から得られた世界平均値のデータベースがある。

 

新しいNISTの方法はそれを使わず、直接測定するところが特徴である。 中性子寿命の場合、データベースが数値を修正するたびに、寿命測定値が変化するので、データベースに依存しないにこしたことはない。

4段階の計測法は、α粒子とγ線の両方の検出器を備えたNISTのアルファ - ガンマ装置から始まる。放射率が数100分の1パーセント以内であることが知られている放射性アルファ粒子源が装置内に配置され、α線検出器から読みが取られる。これでα線検出器を較正する。

手順1 の実験

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Credit: NIST

手順2の実験

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Credit: NIST

手順3の実験

 

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Credit: NIST

手順4 の実験

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Credit: NIST

第2段階では、α線源が除去され、B10でできた薄いターゲットがチャンバ内に配置され、中性子研究のためのNISTの原子炉からの中性子ビームが片側から入る。ビームはターゲットに当たって、α粒子とγ線光子の両方を放射する。較正されたα線検出器および高感度のγ線検出器からのカウントを比較すると、比が得られる。 (例えば、検出された1,000個のα粒子ごとに、50個のγ線が検出される)。この比でγ検線出器を較正する。

次の段階では、薄いB10ターゲットが除去され、それに衝突する全ての中性子を吸収するのに十分な厚さの炭化ホウ素片で置き換えられる。すべてのα粒子が厚いターゲットの外に放出されるわけではないが、高エネルギーのγ線は放出される。上述した較正で、γ線計数は、中性子束の正確な尺度として使用することができる。

 

最終段階では、アルファガンマ装置によって測定された速度は、アルファ - ガンマ装置のすぐ上流の中性子ビームラインに位置する別個の装置である中性子束モニタを較正するために使用される。アルファガンマ装置は他の99%を吸収するので、中性子束が算出できる。

これまで測定技術によって、寿命が約8秒(約1%)異なるが、新しい計測法で不確実性を1秒にまで低下させることができる。

 

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