グラフェン「折り紙」でつくるチューナブルIRフイルター

グラフェンの応用は驚異的と言える多岐にわたるが多くは2D導電性を利用したデバイスであった。イリノイ大学の研究チームはグラフェンを「折りたたんで」機械的に変形させることで、チューナブルIRフイルターに利用できることを発見した("Mechanically Reconfigurable Architectured Graphene for Tunable Plasmonic Resonances" in Light: Science & Applications)。

 

研究資金はもともとは軍用のチューナブルIRセンサーの開発が目的だったが、研究チームの新奇グラフェン応用の開拓研究の一環となる。通常はグラフェンを基板上に固定すると、すなわち2D平面展開すると、透過率が3%と極めて高い吸収係数をもつ。研究チームはこの平面を平面でなく、面が波打つように変形したら光学的性質はどうなるのか、という実験を行った。

変形されたグラフェン膜は変形に依存して表面プラズモン共鳴により、光学吸収が最大10倍増大する現象を見出した。下図は表面プラズモン共鳴の模式図。

 

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Credit: sciencedirect

 

グラフェンのしわの高さと波長を機械的に制御することで、さまざまな表面プラズモンを励起し、異なる周波数を吸収することができる。この性質を利用すれば任意の波長の吸収係数を増大させたチューナブル光学フイルターとなる(下図)。

 

 

Tunable graphene mid IR biosensor A Conceptual view of the graphene biosensor An

Credit: researchgate

 

上図にチューナブルなグラフェンIRバイオセンサーの原理示す。 (A)グラフェンバイオセンサーの概念図。 IRビームはグラフェンナシートを横切るプラズモン共鳴を励起する。 電磁場は端部に集中し、グラフェンに吸着されたタンパク質分子との光相互作用を増幅する。 蛋白質検知は、蛋白質の分子振動に対応するプラズモン共鳴スペクトルシフトで行う。 プラズモン共鳴は静電的に制御できるので、蛋白質の振動帯にわたって連続的に掃引ができる。 (B)グラフェンナノシートの走査電子顕微鏡像(幅W = 30nm、周期P = 80nm)。 垂直ナノシートは、グラフェン表面を均一な電位に保つために電極によって接続される。 (C)グラフェンナノリボンアレイの原子間力顕微鏡断面図。

もともとは軍用目的の研究資金であっても、原理の普遍性に鑑み論文公開が許されるのであれば、日本のように極端な軍事研究アレルギーを持つ必要もないのかもしれない。ちなみにIRセンサーは平和利用も軍事利用もできる。

 

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