3GeV放射光の混乱は解消されたのか(2019.01.29)

平成最後の正月は慌ただしく過ぎ去って、いよいよ新しい元号と新天皇即位が近づいた。平成は日本の放射光にとっては、発展の時代であったが、同時に3GeV光源建設が遅々として進まない「混乱の時代」でもあった。平成の時代とお別れする日が近いが、果たして新元号開始の年は混乱が解消されるのだろうか。ここまでの経緯については何度も記事をかいているので、単刀直入に要点に入る。混乱は解消されたのかということである。

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量子スピン液体TbInO3の発見

リバプール大学とマクマスター大学の研究チームは、ペロブスカイト関連の金属酸化物TbInO3が、量子スピン液体状態特有の異常な物質状態を示していることを発見した(Clark et al., Nature Physics online Jan. 21, 2019)。

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共鳴非弾性X線散乱(RIXS)による「現代版ヤングの実験」

ケルン大学の研究チームは、グルノーブルのESRF放射光で共鳴非弾性X線散乱(RIXS)を用いたヤングの「2重スリット実験」を試みた。電子励起による2重スリット型正弦波干渉パターンが、2量体、3量体、ラダー物質の電子構造の解明に役立つことを実証した。(Revelli et al., Science Advances 5, eaav4020, 2019

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CERNがFCCを次期加速器ビジョンとして推進

LHCの成功を背景にして、CERNは次の数10年でさらに多くの物質と宇宙の秘密を解き明かす目標のもと、FCCを軸とした次期加速器ビジョンを提案した。

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ESRFが解き明かしたレンブラント絵画の技法(インパスト)の秘密

「光の画家」と呼ばれるレンブラントは、光と影を操り数々の傑作を残しているが、得意とした技法、インパスト(Mpasto)とはキャンバスに厚塗りされた絵具の盛上がりや,絵筆またはパレットナイフの跡がはっきりわかるほどの画面上の絵具の凹凸をさす。これによって光の反射と散乱を自在に操ることで「光の魔術師」と表現される微妙な陰影を作り出していた。

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ワイル半金属の超高速対称性スイッチング

トポロジカル物質の奇妙な特徴は、電子がある表面から別の表面へと移動できることである。SLACの研究者チームは、パルス光を使って物質を安定した位相に変化させることによって、表面伝導のオンとオフを切り替えることができることを示した(Sie et al., Nature 565, 61, 2019)。

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放射光「その場」X線回折で明らかになるナノ結晶成長機構

ジョージア工科大学の研究チームは高エネルギーX線ビームで高圧高温化学反応による金属コバルトナノ結晶が数十原子を含むクラスターから最大5ナノメートルの大きさの結晶まで成長する過程を明らかにした(Ma et al., J. Am. Chem. Soc. 140, 17290, 2018)。

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銅系高温超伝導体のスピン運動量ロッキングが発見される

1986年の銅酸化物高温超伝導体の発見以来、超伝導体材料は約30Kから始まり銅酸化物が100K以上の温度まで臨界温度は上昇したが、機構解明は道半ばである。ローレンスバークレー国立研究所(バークレイ研)の研究者たちは、放射光SARPESという新しい分光技術で銅酸化物の異常な性質についての手がかりを得ようとしている。

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