メキシコの放射光ユーザーミーテイング

 2011年にメキシコシテイ郊外のCuernavacaで行われたFirst Mexican Synchrotron Radiation Users' Meeting, May 4-6, 2011 at Cuernavaca, Mexicoに招待されて、筆者の分野の紹介と(主催者側の要望を考慮して)メキシコ初の放射光施設建設の意義をアピールした。第1回ユーザーズミーテイングというふれこみであったが、もちろん建設計画はおろか基本設計や予算計画も未定だった。そもそも施設もないうちにユーザーズミーテイングというのには疑問を感じたが、関係者の熱意を感じ取ることができた。

Mexico-SR

 

 メキシコの会議はたいていカンクーンのようたリゾート地で行われる。Cuernavacaも噂にたがわぬリゾート地で高原のため涼しく快適な場所である。メキシコシテイには成田からメキシコ航空の直行便がある。会議は放射光施設建設の意義を参加者全員で確認し、実現に向けて努力しようという連帯感に溢れたものであった。メキシコシテイからの車で移動中、建設ラッシュで立ち並ぶクレーンに発展するメキシコ経済がうなづけた。建物をみるとALBAそっくりだが会議の時にALBAのコピーだといっていたので当然である。ご存知のようにメキシコとスペインは深いつながりがある。メキシコシテイの書店にはスペイン語の書籍がぎっしり棚を埋め、読書好きなようだ。村上春樹コーナーもあってスペイン語版は人気が高いという事であった。

 

 参加者の一人(蛋白構造解析)の若い研究者が何故自分たちが施設をメキシコ国内に必要としているかを説明してくれた。現在は、メキシコから結晶を米国に持参して研究を行っているが、国境で結晶を没収されることが多いという。国境は不法移民や麻薬密輸の拠点となっている。メキシコの国全体の犯罪率は高そうだがカナダを下回っていて、悪名高い麻薬カルテルの犯罪は国境近くに集中しているだけだという。招待されたお礼として会議後に政府の役人に必要性を説いたが、その効果があったのならうれしい。とにかく会議の参加者全員の熱意が伝わって来た。筆者が我が国の最初の放射光施設の建設時期に経験したものと全く同じだった。是非、実現して欲しいと思う。

 

 彼らの計画は幸い順調のようで今年秋には4回目のユーザーズミーテイングが開かれる。今回もHuatulcoというメキシコ湾に面したリゾートである。脱線したが重要なことは、最新の光源に関する招待講演が並び、最先端の放射光源のトレンドを表していることである。

   PETRA III
   NSLS II
   ESRF(アップグレード)
   APS(アップグレード)

 これらはいずれも建設が終わった直後か建設中の光源である。関連記事を参照されたい。その他にElettraがはいいているのは活発なFELと光源研究者が、Frascatiを拠点としているからだろう。今年の9月には低エミッタンス光源の国際会議が開かれている。会議後には講演プレゼンが公開になるので、そのときにまた報告する。日本の3GeV計画、SPring-8アップグレード、ERLの混乱に終止符を打ち、ひとつづつ集中して建設を具体化する必要があるだろう。

IV-Reunion-Usuarios-Sincrotron-2014-Cartelv2-En

 

 

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