SLSのフーリエ・タイコグラフィX線顕微鏡

ナノ構造をX線顕微鏡で調べる際には、高い解像度を得るには広範囲の散乱角を取り込むことがレンズが必要となる。ポール・シェラー研究所(PSI)の研究チームは、最終的な画像は、まるで大きなレンズで測定したかのようになる新手法(フーリエ・タイコグラフィ手法)を開発した。

 

ナノ構造をX線顕微鏡で調べる際には、高い解像度を得るには広範囲の散乱角を取り込むことがレンズが必要となる。ポール・シェラー研究所(PSI)の研究チームは、最終的な画像は、まるで大きなレンズで測定したかのようになる新手法を開発した。フーリエ・タイコグラフイーはさまざまな照明下で計測された多数の低分解能画像を、フーリエ空間でつないで、広視野、高分解能の複雑な試料画像を得る手法で、可視光領域ではは応用が始まっている(下図)。 

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Credit: yicheng.rice.edu

 

PSI研究チームの手法は「仮想レンズ」は、X線顕微鏡で一般的に使用されているような小さいレンズを使用して、理想的なレンズの効果を持たせるやめ複数枚の画像を計算機アルゴリズムを使ってすべての写真を組み合わせて高解像度画像をつくる(Wakonig et al., Science Advances 5, eaav0282, 2019)。

 

通常の測定では光学レンズと同じ理由(色収差)のため、対象がレンズ中心(光軸)から遠ざけることは禁物である。しかし研究チームはレンズの正確な位置情報を利用して、光散乱を再構築するフーリエ・タイコグラフィを活用した。

フーリエ・タイコグラフィは2013年以来、可視領域の顕微鏡観察に使われてきた。PSIでの実験で、研究チームはこの原理を初めてX線顕微鏡観察に適用した。研究チームが開発した方法は、高解像度だけでなく、2つの補完的な種類のイメージング情報も得られる。図はビーム照射方向走査法のフーリエ・タイコグラフィ実験レイアウト。

 

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Credit: Science Advances

 

このフーリエ・タイコグラフィ手法で、組織と細胞凝集体を調べるのに適しており、アルツハイマー病や肝炎などの疾患の発症に新たな知見が得られると期待されている。通常は、生体サンプルの吸収コントラストは良くないが、位相コントラストによって大幅に画質が向上する。また、フーリエ・タイコグラフィは通常のX線顕微鏡と比較すると、効率的で必要な放射線量が少なくてすむ。

この研究はSLSのcSAXSビームラインで行われたが、実験室でコヒーレントX線源が使えるようになれば、ナノイメージングの新しい応用分野が開かれると考えられている。下図は対物レンズ走査法のフーリエ・タイコグラフィ実験レイアウト。

 

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Credit: Science Advances

下の写真はcSAXSビームラインのタイコグラフイーステーション。

 

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Credit: cSAX@SLS

 

SLSはコンパクトな1.9GeVリングだが、SuperXASビームラインやcSAXビームラインなど光学系と計測系に凝った独創的な実験ステーションで、存在感を示している。

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