ワイル半金属の超高速対称性スイッチング

トポロジカル物質の奇妙な特徴は、電子がある表面から別の表面へと移動できることである。SLACの研究者チームは、パルス光を使って物質を安定した位相に変化させることによって、表面伝導のオンとオフを切り替えることができることを示した(Sie et al., Nature 565, 61, 2019)。

 

トポロジースイッチング

トポロジースイッチングは、将来の量子コンピュータや電流を損失なく伝送するデバイスに使用できる可能性がある。トポロジカル物質の有利な点は、電子状態が加熱、機械的圧力および材料欠陥などの外部摂動に対して安定であることで、高速なトポロジー制御(スイッチング)は、省電力超高速デバイスへの応用が期待される。

数学的なトポロジースイッチングは、特徴を失うことなく、幾何学的対象をさまざまな形状に変換する方法を表す。たとえば、球は平らな円盤に変形することができるが、ドーナツには変形でない事例はよく知られている。一方、物質のトポロジーの概念はより抽象的だが、位相的状態(オン状態)の物質は、外部摂動の下で、非常に少ない損失の伝導性を持つ。

 

トポロジカル物質のオンとオフを切り替えるには、テラヘルツ光パルスを用いる。THzパルス照射は代表的なトポロジカル物質であるWTe2などの遷移金属カルコゲナイドの隣接する原子層を反対方向にシフトさせ、結晶構造(下図)を歪ませることがトポロジースイッチング原理になる。

 

41586 2018 809 Fig5 ESM

Credit: Nature

 

THz光によるトポロジースイッチング

トポロジカル物質の位相は安定なオン状態を、外場の摂動でオフ状態へのスイッチングができる。研究チームは、光誘起の構造歪を使って位相物質を制御(THz光トポロジースイッチング)できることを実証した。

テラヘルツパルスが当たった直後の材料の原子構造の迅速なスナップショットを、超高速電子回折(UED)で調べた結果、THzパルスが隣接する原子層を反対方向にシフトさせ、原子構造を歪めることがわかった。構造は振動し、元の位置を中心に前後に揺れる。一方向に原子面が移動すると、トポロジカル特性を失うが、反対方向に動くとオン状態が戻る(下図)。

 

41586 2018 809 Fig2 HTML

Credit: Nature

 

41586 2018 809 Fig1 HTML

Credit: Nature

 

この研究で光と歪みを使って、位相物質を制御できることが明らかになったことで超高速トポロジースイッチングのデバイス応用の可能性が期待されている。

超高速電子回折(UED)は短パルスレーザー照射でフォトカソードから放出される電子を加速して電子線回折に応用するもので加速器ベースではSLACが、また実験室の実験装置をカルテックが開発している。下図はカルテックのUED。

 

A A scale repre sentation of the third generation UED appara tus The Caltech

Credit: Caltech

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.